2011年2月23日(水曜日)[ 見解・資料 ]

予算案について「公約としての「保育待機児童の解消」など市民の暮らし充実への対応は強調するも、民営化・委託化のさらなる推進と職員負担増、企業誘致・大型開発は拡大」

1月27日林市長は次年度の予算案について発表しました。就任後初の本格的な予算であり、先に発表された「中期4カ年計画」の実質的なスタートの年としての予算となります。公約として掲げた「保育待機児童の解消」や「児童虐待対策の充実」などを緊急的な課題への取り組みとして、さらには「市立学校への空調設備の設置」と子どもへの予算の増額となっています。

一方で、市長が車の両輪といっている「将来の活力」として「国際コンテナ戦略港湾」「横浜環状道路整備」などの大型公共事業の予算も増額しています。

公表された資料は市として強調したい特徴点を概要的に説明したものですが、現時点での市従としての見解は以下のとおりです。

  1. 11年度の予算はすべての会計で前年度を上回る予算となっています。一般会計のうち義務的経費が10年度初めて50%を超えましたが11年度はさらに56.4%となっています。296億円の増額ですが、義務的経費の伸びは466億円と全体の増額を上回っており、さらに硬直化が進んでいると言わざるを得ません。
    昨年に引き続き保育待機児童の解消と、安心してこどもを生み育てられる環境への施策への予算を大幅に増額していることは評価できます。しかし、その施策の手法は民間施設の拡大であり、市立保育園は更なる売却を進めています。「緊急的な課題」として福祉施策を民営化・委託化の拡大に頼ることは、「安定的な公共サービスの提供」の視点からは大いに疑問です。また、市民要求の強い「乳幼児医療費の無料化の拡大」「国民健康保険料の値下げ」の予算化には答えていません。
  2. 職員定数は、昨年に引き続き生活保護世帯の増加などにより、増員となる職場も出ていますが、民営化・委託化の推進による現業職場を中心とした減員により、72人の削減としています。
    業務量の増加や新規事業の人員は民間委託や、嘱託職員の増員により対応し、減員は、業務がなくなり削減したのではなく学校給食の民間委託10校、家庭系ごみ収集体制の委託化など、業務の担い手を、非正規の嘱託職員や業務委託による不安定雇用の民間労働者に置き換えることをすすめ、「官製ワーキングプア」を生み出し、本来自治体がなすべき公的責任を放棄し、安定した雇用対策にも逆行するものです。企業誘致のための予算を大幅に増額していますが、固定資産税を大幅に減免して大企業を誘致する取り組みより、雇用の確保・増大への取り組みのほうが緊急の課題ではないでしょうか。
    また、毎年の超過勤務予算の削減、庁舎管理費・事務経費の削減など、サービス残業の危惧や、職場環境の悪化・働きづらい状況がすすみ、昨年に引き続き厚生会事業の補助金を大幅に削減するなど、「現場の声を大切に」する姿勢は見えてきません。
  3. 厳しい財政状況をまくらことばに、毎年大幅な事業見直しによる縮減をおこない、業務委託や民間化、嘱託職員の導入による大幅な職員定数の削減と、受益者負担の適正化として公共料金の値上げ等、住民負担増を行なってきました。次年度に向けては、80億円の削減となっています。各種助成金補助金の削減等が、職員や住民の地域活動に及ぼす影響などは不透明な部分もあります。
    市立動物園の管理運営事業・海釣り施設管理費など委託料の一方的な削減で、委託先や指定管理職場の労働者の賃金がさらに抑制されることも懸念されます。「現場目線・市民目線で」本当に事業見直しが行なわれたのでしょうか? 実施された見直しであっても現場からの声を大いに上げていく必要があります。横浜市の指定管理施設等は900を超えています。予算の削減がそこで働く労働者、施設を利用する市民へどのように影響しているのか、今後「公益法人改革」がどのような影響を及ぼすのか懸念されます。
  4. 公共事業などの「施設整備費」が一般会計に占める割合は、12.0%(前年度12.3%)となっていますが国庫補助事業が減る中、市の単独事業が増えています。国際コンテナ戦略港湾・横浜環状道路整備の2つの事業だけでも197億円(+69億円)や事業が開始されれば大きな予算となるエキサイトよこはま22への基本計画策定予算など大型公共事業を進めています。財源の性格から公共事業を見直し、その予算をストレートに福祉・医療の充実の施策などにまわすことにはなりませんが、将来市民へ大きな負担となる事業は継続し進めています。
    今年度は予算が削減された、特別養護老人ホーム(緊急性の高い申込者が1年以内に入所可能という目標でいいのか疑問)・市営住宅などの建設も公共事業ですし、今年度も維持したとしている地元中小業者に発注する公共事業を増やしていくことこそ、「生活のおおきな安心を実現させ」「市内経済を支え、地域の元気を生み出す」ことにつながるのではないでしょうか。また、地元雇用の確保・労働者の賃金を保証しワーキングプアをなくするためにも「公契約条例の制定」が必要ではないでしょうか。

冒頭にも述べましたが、発表された予算案は、横浜市が強調したい概要を示したものです。実質的に政策的に使える予算が減少している中で、強調された施策の影で、市民生活に大きく影響を及ぼす予算の削減が行われていないのかどうか更なる検証が必要となります。各職場から局別の予算を精査・研究していくことが必要です。

横浜市従は、引き続き「横浜市で働いてよかった」「横浜市で暮らしてよかった」と思える予算編成を求めて奮闘していきます。

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