2011年2月15日(火曜日)[ I LOVE 憲法 ]

保健所のあり方示すべき

日本国憲法ではその第13条で「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、(中略)立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と明記しています。

さらに、第25条第1項では「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と生存権を規定し、第2項で「国は全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と「国の社会的使命」即ち、国の義務を規定しています。

1947年5月3日に日本国憲法が施行され、翌年1月1日には旧保健所法(現「地域保健法」)が施行され、保健所は国民の基本的人権保障のために整合的に位置づけられました。保健所法の法案提案理由に当時の政府委員は次のように述べています。

「公衆衛生の向上及び増進をはかることは、新憲法25条によりまして、社会福祉および社会保障の向上及び増進をはかるとともに、国の基本的義務とされたしだいでありまして、これなくしては平和的文化的国家の建設は、とうてい望みがたいといわなければなりません。保健所は現在757箇所設置せられ、公衆衛生行政の第一線の実施機関となっておりまするが、新憲法の趣旨に副うためには、更に中央および地方の機構を整備するとともに、直接に国民に接触する保健所の機能の拡充強化をはからなければなりません」

日本国憲法の発足当時、保健所は憲法25条の公衆衛生を具体化する機関として意味づけられ、その予防活動に大きな期待がかけられ、実際にもその当時猛威を振るっていた伝染病の予防対策と根絶に大きな役割を果たしました。

しかし、残念ながら日本国憲法施行10年目にして早くも「公衆衛生たそがれ論」が出始め、その後も紆余曲折が続いています。政府・厚労省は保健所発足当初の考え方に振り返ることなく、相反した施策を続けていると言わざるを得ません。

一方、1978年に日本公衆衛生学会保健所問題委員会(小栗史朗委員長)がまとめた「地域保健のあり方」では、憲法第25条や先に紹介した保健所法提案理由の考え方を踏襲し、「公衆衛生行政の第一線機関」「直接国民に接触する保健所機能」等を保健所の基本的なあり方として、これから保健所の方向を考えるうえでも重要な指摘をしており、自治労連公衆衛生部会の運動などにも生かされています。

今日、保健所法を全面改訂した「地域保健法」によって厚生労働省が「保健所機能の拡充強化」とは逆行する施策を展開している状況のもとで、あらためて、憲法25条の精神にそった保健所のあり方を示すことが大切ではないでしょうか。

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