2011年10月14日(金曜日)[ コラム「しじゅう」 ]

安易な基準に流されず

作家の村上春樹さんが6月9日、スペインのカタルーニャ国際賞の受賞式で、「効率のよい原子力エネルギーを使わない日本人は馬鹿だ」と世界中があざ笑ったとしても、原爆体験による核アレルギーを我々は持ち続け「核ノー」を叫び続けるべきだった。

急速な経済発展の途上で「効率」という安易な基準に流され、骨太な倫理、規範、道筋を見失ってしまった、とスピーチした。

一方、野田新首相は9月22日、ニューヨークの国連本部で、「原発の安全性を最高水準に高める」ことを強調し、原発の再稼動や原発輸出の推進を表明した。

東京電力は原発事故後、今夏の最大需要電力を5500万kw、不足電力を850万kwと見込み、休眠中の火力発電所などを再稼動させた。大口需要家に昨夏比15%の節電を課した電力使用制限令の効果もあり、今夏の最大需用電力は8月18日の4922万kwで、予測値も昨夏実績(5999万kw)も大きく下回った。

東電は7月末に5600万kwの供給力を確保したとしており、管内で唯一稼動中の柏崎刈羽原発2基分の245万kwが無くても十分やっていけたというのが真相なのだ。加えて言えば、電力需要のピークは太陽が燦燦と輝く夏の日中であり、光を電気に変える太陽光発電がピーク時電力対策としても極めて有効なはずだ。ピーク時電力削減の節電対策と自然エネルギーの活用拡大によって脱原発は十分可能なのである。

未曾有の原発災害の解決の目処も解き放たれた放射能の処理も五里霧中というのに、旧態依然とした原発ありきの演説は、「日本人は馬鹿だ」と世界中に宣言するようなものだろう。

今度こそ、「効率」とか「便利」とかの安易な基準に流されず、骨太な倫理、規範、道筋を見失わないようにしたいものだ。

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