2012年3月15日(木曜日)[ たばこ病のない世界を・・・ ]

【第20回】陳述書から(下)

第2に、このように権力に敗北させられる国民に対し、司法としての反省があってよいのではないでしょうか。

第3に、現に毎年20万人が喫煙が原因で命を落としており、その割合は日本の総死亡者数の2割近くを占めていることは、厚生労働省の補助金研究班で明らかになっています。裁判所として国民の命をないがしろにしているその違法性について一言あってよいのではないでしょうか。

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最後に、FCTC(タバコ規制枠組条約)締約国として、タバコ規制に本格的に取り組むべき国は、JTを指導し、自動販売機を撤去すべし。対面販売で身分証明書を提示させ、10代には販売しないことを徹底すべきではないでしょうか。

プリンクマン指数200以上(1日の喫煙本数×年数)という条件が10代青年の禁煙外来の保険適用の高い壁になっています。10代の若者が5年間毎日20本吸い続けても、プリンクマン指数でいうところの100にしかならず、保険適用外になってしまいます。これは禁煙外来の主旨に反しています。

10代でタバコを吸えば依存症は深く、一生吸い続ける例が多いことは広く知られています。

10代半ばで喫煙を始めたオバマ大統領が、大統領就任式で禁煙を約束しながら、なかなか実現せず1年半もかかってようやく禁煙したという報道がありました。

これはJTがタバコの依存は軽いと言い続けてきたことを裁判外で否定したことでもあり、私たちの主張の証明ともいえます。

私たちの弁護団はボランティアであり、応援団の業務協力はあるものの、スタッフもおらず、自らの手で作業しなければなりません。そのような厳しい環境の中、タバコに関する最高の知見と研究を元に、しっかりと口頭弁論を行ない、我々と傍聴者を励ましていただきました。徹夜を繰り返しながら、かつてのタバコ裁判史上、類を見ない証拠と知見と論理を積み上げていただきました。これは原告の誇りです。

私は息も絶え絶えで身動きなりませんが、医療・看護チーム、応援団、支援者の仲間、友人におんぶに抱っこでお世話になって、本日まで生き延びることができました。とかく世の中は金で動くといいますが、今回の裁判のようにその意義や意気に感じ、善意と好意に支えられて闘うことができた幸せをこの公開裁判の場で裁判官、弁護団、傍聴の皆様に申しあげ、深く感謝するものです。

陳述を終えるにあたって、福田裁判長の公正な訴訟指揮を目の当たりにして、裁判官の独立と、これが裁判なのだということを実感することができました。福田裁判長にお会いできたことを光栄に思います。(完)


水野雅信さんは、3月7日21時逝去されました。
今回の原稿は2月3日にお預かりしたもので、ご本人の了解を得たものです。
ご冥福をお祈りします。

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