2012年4月13日(金曜日)[ 見解・資料 ]

2012年度予算案 「保育待機児童の解消」「防災・減災」など市民の暮らし充実・安心への対応は強調するも、民営化・委託化の推進と市民・職員負担増、企業誘致・大型開発は大幅拡大

 2月1日林市政3度目となる予算案(2012年度予算案)が発表されました。

「成果結実の年」として、文化芸術や経済成長と、災害・子ども政策に力点をおくことを強調しています。また、東日本大震災の発生による緊急的震災対策としての事業費の増もあり、前年度比1.6%(525億円)の増額予算となっています。

1.12年度予算の概要 

林市長は3度の予算編成で一貫して強調(重点)としている項目は、待機児解消・小児医療・教育環境などの子どもへの施策と中小企業支援・企業誘致・ハブポート化の推進などの経済政策となっていますが、次年度の予算案では、文化芸術スポーツの振興と防災減災を、新たに強調した打ち出しとなっています。

大幅な予算の増額の待機児解消はやはりその多くが民間施設に頼り、保育料の値上げによる市民の負担増も同時に行われますし、ハブポート化や環状道路などは地元企業が参入できない大型公共事業であり、防災対策も予算の大きな部分は、対応が後回しとなっていた耐震補強や区役所庁舎建設です。

 「人を呼び込む」としてのDance Dance  Dance・ スマートイルミネーション・プロスポーツ支援は「Y150」の二の舞にならないのでしょうか。

 

2. 市民の要求に応えた予算案になっているのか

横浜市民意識調査での市政への要望と予算案を見てみると、①地震などの災害対策 ②病院や救急医療など地域医療 ③高齢者福祉 ④防犯対策 ⑤高齢者や障碍者が移動しやすい街づくり、がベスト5となっており順位は入れ替わっていますがこの5項目が3年連続で上位を占めています。しかし、次年度大幅な予算増は震災対策だけであり、毎年上位の要望である高齢者福祉に対しては、介護保険料・後期高齢者保険料値上げ、国保保険料も値上げの方向です。

学校教員の増員を、なぜ英語教員なのか?父母の要望に応えているのか、30人学級こそ「子どもと向き合う時間」を増やすことにならないのか?

<特徴的な項目の予算の推移>

  2010年度 2011年度 2012年度  
待機児解消 84億6600 135億100 (159.4%)  165億5800(195.6%) 増加
放課後児童育成推進 43億9100 44億5200(101.3%) 44億3300(100.9%) 横バイ
小児医療費助成 61億9900 66億3400(107%) 65億7000(105.9%) 横バイ
特養ホームの整備 35億9000 23億     (64.1%) 22億9300(63.9%) 減少
企業誘致促進事業 17億8100 24億1900(135.8%) 29億2200(164.1%) 増加
横浜環状道路 77億6600 114億2300(147%) 122億4500(157.6%) 増加
地方道路の整備 73億6300 71億2300(96.7%) 69億4000(94.2%) 微減
ハブポート化の推進 50億2800 74億200(147.2%) 155億2800(308.8%) 急増

3.  職員定数は、

昨年に引き続き生活保護世帯の増加などにより、増員となる職場も出ていますが、民営化・委託化の推進による現業職場を中心とした減員により、35人の削減としています。

業務量の増加や新規事業の人員は民間委託や、嘱託職員の増員により対応し、減員は、業務がなくなり削減したのではなく保育所の民間移管4園、学校給食の民間委託9校、家庭系ごみ収集体制の委託化など、業務の担い手を、非正規の嘱託職員や業務委託による不安定雇用の民間労働者に置き換えることをすすめ、「官製ワーキングプア」を生み出し、本来自治体がなすべき公的責任を放棄し、安定した雇用対策にも逆行するものです。企業誘致のための予算を大幅に増額していますが、固定資産税を大幅に減免して大企業を誘致する取り組みより、雇用の確保・増大への取り組みのほうが効果的ではないでしょうか。

<職員定数の削減と非常勤職員の増加>

   2010年度 2011年度 2012年度
職員定数 ▲203人 ▲72人 ▲35人
非常勤職員 +393人 +263人 +136人

 

4. 厳しい財政状況をまくらことばに、

毎年大幅な事業見直しによる縮減をおこない、業務委託や民間化、嘱託職員の導入による大幅な職員定数の削減と、受益者負担の適正化として公共料金の値上げ等、住民負担増を行なってきました。次年度に向けては、78億円の削減となっています。各種助成金補助金の削減等が、職員や住民の地域活動に及ぼす影響などは不透明な部分もあります。

   <事業見直し・経費削減>

  2010年度 2011年度 2012年度
内部経費の見直し 27億円 32億円 11億円
民営化・委託化の取組 4億円 4億円 2億円
使用料等の見直し 0.1億円 2億円 18億円
その他事業の見直し 91億円 42億円 47億円
(補助金・委託料の見直し) 26億円 29億円 19億円

 

5. 直接的に市民要望に応える予算の強化こそ経済活性化に

公共事業などの「施設整備費」が一般会計に占める割合は、13.2%(対前年度11.3%増)となっていますが国庫補助事業より、市の単独事業が増えています。国際コンテナ戦略港湾・横浜環状道路整備の2つの事業だけでも268億円(+79億円)や事業が開始されれば大きな予算となるエキサイトよこはま22への基本計画策定予算など大型公共事業を進めています。財源の性格から公共事業を見直し、その予算をストレートに福祉・医療の充実の施策などにまわすことにはなりませんが、将来市民へ大きな負担となる事業は継続し進めています。エキサイトよこはま22などは防災の観点からの街づくりに方向を転換すべきではないでしょうか。

予算が削減され続ける、特別養護老人ホーム(緊急性の高い申込者が1年以内に入所可能という目標でいいのか疑問)・ゼロ予算の市営住宅などの建設も公共事業ですし、強調していますが、予算の少ない地元中小業者に発注する公共事業を増やしていくことこそ、「連携・循環による相乗効果の発揮」につながるのではないでしょうか。また、地元雇用の確保・労働者の賃金を保証しワーキングプアをなくするためにも「公契約条例の制定」が必要ではないでしょうか。また、大都市制度の検討に当たっては住民自治の観点からの検討無しには本末転倒になってしまいます。

予算案の発表に際しては、毎年行っている「市民意識調査」の市民からの要望に対してどのような施策を取ったか、また市債を発行して行う大型公共事業については将来の横浜にどのような経済効果をもたらすのかもっと具体的に説明すべきものと考えます。実質的に政策的に使える予算が減少している中で、強調された施策の影で、市民生活に大きく影響を及ぼす予算の削減が行われていないのかどうか更なる検証が必要となります。各職場から局別の予算を精査・研究していくことが必要です。

横浜市従は、引き続き「横浜市で働いてよかった」「横浜市で暮らしてよかった」と思える予算編成を求めて奮闘していきます。

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