2012年5月10日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第1山】箱根山1438m「多彩な魅力に満ちた山」

「箱根」と聞いて抱く第一印象は「観光」だろうか。網の目の様な道路、山頂に至るロープウェー、湖上の遊覧船、数珠つなぎの温泉街………、およそひとつの山で、箱根ほど観光施設が質・量ともに充実した所はないだろう。本来は山深い筈の箱根が、なぜこれほどまでに観光に席巻されているのか。

まず何と言っても、首都東京から近いこと。関東平野の南西端にあって首都圏の格好の奥座敷になっている。さらには交通の大動脈である東海道筋に当たること。そのルーツは、平安初期の富士山の噴火にまでさかのぼる。噴火以前の東海道は、箱根の山を北へ迂回、現在の御殿場線沿いに通じていた。それが富士火山の噴出物によって道が封鎖され、やむなく箱根の山を越える道を開削したのである。噴火が収まってもルートが戻ることはなく、箱根越えが幹線道として江戸期まで続く。やがて明治の文明開化で避暑地・別荘地として脚光を浴び、観光要素が拡大して今日に至っているわけだ。もし、東海道が北麓回りのままだったら、ここまでストレートに発展することはなかっただろう。

登山愛好家としては「平安の噴火なかりせば」とは思う。箱根の山としての魅力は絶大である。バラエティー豊かないつくもの火山・湖・湿原・渓谷、山の美のあらゆる要素が至る所に多角的に展開する。これほど変化に富んだ山もない。観光開発がなされていなければ、尾瀬クラスの別天地ではなかったかと思うのである。沢から山へ湖へ、山小屋を利用しながら1泊や2泊で歩くワンダーランド、なんと魅力的な世界であったろう。

むろん観光ナイズされた現代でも、いいハイキングルートはある。山全体からすると如何にも細切れだが、その分だけ初心者向きのショートコースを提供してくれているとも言える。もし、ルートの一角で箱根の雄大な展望に接する機会があったら、人工物(ゴルフ場や街並み、道路)を取り払った目線で眺めてみよう。本来の箱根が持っていたであろう雄大な自然を、心の中に描き出してほしい。

◆おすすめコース
大涌谷─神山─駒ヶ岳(2時間:初級向け)※新緑期の豊かな森に触れるのならイチオシ。特に神山(箱根の最高峰)と駒ヶ岳との間に広がるパステルトーンの森が絶品。

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駒ヶ岳付近から見おろす芦ノ湖

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図29「箱根」

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