2012年6月1日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第3山】霧ヶ峰 1,925m「梅雨時に輝く」

山歩きにとって梅雨時は厄介なシーズンだが、むしろ梅雨時こそ旬な山もある。その代表格が霧ケ峰だろう。信州のほぼ中央に位置し、2千m近い標高がありながら、緩やかで広やかな草原状の丘が延々と続く。視界を遮る樹木がないので、エリア内のどこにいても展望は大きく見事である。

見晴らしが良いせいか、霧ヶ峰は様々な花が映える。それも草陰にひっそりと咲くと言った物静かな風情ではなく、遠目にもはっきりとわかる大群落となってハイカーの目を楽しませてくれる。大草原に彩色のパッチワーク、わけても代表的な花の盛りが、まさに梅雨時に当たっているのだ。

まずは6月半ば、梅雨入り直後にレンゲツツジが満開に。ツツジの仲間では開花が最も遅く、大きな花の鮮やかな紅色が、緑の草原に実によく映える。続いてコバイケイソウ。こちらは白色、ユリの仲間だが花型がユニークで、群がり並ぶ様は「ムーミン」に出てくるニョロニョロを連想させる。さらにこの花は数年に1度が当たり年で(一説ではオリンピックイヤー)、豪華さは桁違い。そして7月に入ると、霧ヶ峰の代名詞とも言うべきニッコウキスゲの大群落が台地のそこかしこをオレンジ色に染め上げる。やはりユリの仲間で、名前通りの日光や、尾瀬などでも有名だが、広さに加え起伏によって立体的に魅せる霧ヶ峰こそ、ニッポン一の名所かもしれない。

こうした花々は、単に花期が梅雨時に当たっていると言うだけではなく、梅雨時の気象条件でこそ映える。本降りではどうしようもないが、小雨や霧雨の降る中、色鮮やかな花々が霧に煙る様は、まさに日本画の世界。高曇り時もいい。快晴時は太陽光線が花弁に乱反射するので、色そのものの目映りはいまいちだ。しっとりとした色合いを楽しめるのは何と言っても曇天下のフラットな光線なのである。

雨天時の山での行動が注意を要することは言をまたないが、幸い霧ヶ峰一帯は、道は易しくはっきりしていて小屋も点在する。安全登山の点からも梅雨時の山歩きに打ってつけのエリアと言えるだろう。

◆おすすめコース
バス停「強清水」を拠点に逍遥的な散策がお奨め(初級向け)※遠方でもあるので日帰りでは忙しいし、もったいない。是非とも山上部の小屋で1泊を。

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(上の写真)コバイケイソウ咲く湿原を行く

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図32「八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰」

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