2012年6月21日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第4山】男体山 2,486m「独自の展望」

NHK朝のニュース中継の定番と言えば、「江ノ島と湘南海岸」、「箱根芦ノ湖からの富士山」、それと「奥日光・中禅寺湖と男体山」だろう。少なくとも首都圏に住んでいる人にとって、男体山と中禅寺湖の風景は脳裏に焼き付いているのではないか。

ニッポンの山水風景で、この両者ほど山と湖の双方が密接に絡んだ組み合わせはないだろう。山のラインが急角度そのままに水面へ没している光景は、このクラスの雄大な山になるとあまり例がなく、まさに絵画的で印象深い。両者には1,000m以上の標高差があるにもかかわらず、このストレートさゆえに山頂から湖水までの距離が短い。そのためだろうか、山頂からの湖の眺めには息を飲む。水がすぐそこにあるのだ。紺碧の湖面が山裾に絡みつくように取り囲む。どっきりするような碧さ。山頂一帯は火山性溶岩で赤っぽい色彩だから、そのコントラストがより強烈だ。

男体山からの眺めのポイントはそれだけではない。普通、ニッポンの高山からの展望は山岳重畳といった感じで、すぐそばから延々と山々が連なる重厚なイメージが殆どなのだが、ここではその重さが感じられない。深い山中なのに軽やかで垢抜けているのである。男体山を取り巻く山麓部分は中禅寺湖のほか、戦場ヶ原、自身の長い山裾など、どの方角にも風景上の緩衝帯というべき、広大で開けた平坦部が広がる。これが周囲の山岳との間に絶妙な「間」を生み出して、広く明るい景色となって展開しているのである。「大陸的」では大袈裟なら、伸びやかな風景美を誇る「北海道的」とでも言おうか。だから、ここの山頂では絶対に晴れて欲しいし、ただ晴れるだけでなく空気が澄んで遠方までが明瞭に見渡せることが望ましい。

本来なら眺めて良しの名峰・男体山は、登ってみての展望も独自のものなのだ。快晴・清明のチャンスを狙って、何度かチャレンジしてみるだけの価値はある。ふだん見慣れたお馴染みの光景、それを見られる側になったつもりで登山すれば、感興もひとしおだろう。

◆おすすめコース
日光駅(タクシー)志津峠―男体山―二荒山神社(5時間:中級向け)※男体山は急峻なので、湖からの往復はつらいところ。そこで標高の高い裏側登山口から山越えのルート設定。

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(上の写真)半月峠付近からの男体山と中禅寺湖。クリックすると大きく表示します。

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図13「日光」

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