2012年8月7日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第7山】白雲岳2,230m「展望第一の山」

「北海道の屋根」と称される大雪山系。面積は広大で数多くの火山で構成されているが、その中から№1を挙げよと言われれば、私なら迷うことなく白雲岳を推す。普通、大雪と言えば旭岳、黒岳、トムラウシ山あたりがメジャーで、山域でも奥に位置する白雲岳の知名度は決して高いものではない。標高は北海道№3なのだが、元々高いエリアからひょっこり顔を出しているような感じで、堂々たる山姿を誇っているわけでもない。しかし、この山には他の追随を許さない絶対的な自慢があるのだ。

展望絶佳、正にこれに尽きる。山頂からの眺めはニッポンの山岳展望ベスト十どころか、トップ三に確実に入るだろう。広大な大雪山系のヘソに位置するだけあって、雄大な山々を絶好の位置から眺められることもある。が、他では得られないここだけの眺め、それが南面の高根ヶ原(たかねがはら)を見下ろす大観なのである。

高根ヶ原とは溶岩台地や緩やかな火山群から成る、10㎞四方にも及ぶテーブル状の台地だ。うねりや起伏を伴いながら果てなく伸び広がるスケールは、ニッポンの他の山では類を見ない。手塚治虫原作のアニメ「ジャングル大帝」の冒頭で、主人公レオが高い崖の上から広大無辺のジャングル(サバンナ?)を眺めおろすシーンがあるのだが、そのイメージを彷彿とさせるのである。高い山上にあって奇跡的とも言える平らでだだっ広い景観、むろん大きさにおいてアフリカの大地とは比べるべくもないが、実感として大平原にも見えてしまう。山頂から台地までの距離・角度、植生の広がりや緩やかなうねり、それらを縁取る遠山が上手くマッチして、ある種の錯覚を起こしているのかもしれない。山頂に立った人の大半は、心の底から広やかな感覚に捉われてしまうに違いない。むろん、こうしたメカニズムの説明には心理学的な考察が必要なのだろうが。

山には眺めてよい山と登ってよい山とがある。双方の満足度は、それぞれの山によって拮抗あるいは乖離する。白雲岳は、姿よりも展望が優る点においての代表格と言っていいだろう。

◆おすすめコース
銀泉台-白雲岳-黒岳-層雲峡リフト(10時間:中級向け)
※白雲岳近くの避難小屋かテント場に泊まり、朝一のクリアな時間に大展望を楽しむのがベスト。

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(上の写真)高根ヶ原から見る白雲岳。クリックすると大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図3「大雪山」

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