2012年8月28日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第8山】甲斐駒ヶ岳 2,967m「団十郎と海老蔵」

駒ヶ岳は全国に数あり、区別のために頭に地域名などを被せて呼ぶ。中でも山梨県の旧国名を冠した甲斐駒ヶ岳(略して『甲斐駒』と呼ぶことが殆ど)は、駒ヶ岳中の標高№1であり、その姿もまた豪壮雄大の一言に尽きる。ニッポンの山では珍しい壮大なピラミッド型、所属する南アルプスの黒々とした岩質の山の中で、花崗岩(御影石)でできた白色の山頂部はイヤでも目立つ。派手でボリュームある姿から「山の団十郎」なる異名を持っている。顔にドーラン、山裾は新緑や錦秋の豪華衣装をまとい、千両役者そのもの。

その甲斐駒ヶ岳本峰のごく近くに、コブのような大きな岩峰がくっついている。摩利支天と言う。「〇〇岩」とか「○○山」と言った接尾語は付かない。恐れ多くも摩利支天様が呼び捨て、これがなんとも粋なのだ。さらにはこの摩利支天、その形状が曲者。山頂こそ丸いが、三方がストンととんでもない角度で数百mの高度で切れ落ち、絶大な存在感を示している。

本峰に対し、摩利支天の存在はあまりに近く相対的に巨大である。ために両峰を見る角度によって、甲斐駒ヶ岳全体のシルエットは大いに変化し、バラエティー豊かな山姿を見せてくれる。甲府方面からだと摩利支天が本峰に埋もれてしまい、単にピラミッド型のみが目につく。それが中央線で信州方面へ進むと摩利支天がどうだと言わんばかりにせり出し、双子の入道の様な様相を見せる。二峰の絡み合いもまたこの山の魅力だろう。

そう言えば「山の団十郎」はいても、「山の海老蔵」は聞いた事がない。それなら摩利支天を通称「山の海老蔵」に模してみてはどうだろう。切れの深い風貌、なにかと目立ちがり屋なところ、それでも結局は団十郎たる本峰のエリア内で踊らされている、などなど共通点はそれなり。甲斐駒登山の折りは是非とも摩利支天にも立ち寄って欲しい。休憩込みでプラス1時間もみておけば十分。本峰にはない独特の景観、岩峰上にいる絶頂感、海老蔵のやんちゃぶりが存分に実感できる。

◆おすすめコース
北沢峠―駒津峰―甲斐駒ヶ岳:往復、帰路に摩利支天に立ち寄り(9時間:中級向け)※北沢峠をベースに日帰り登山。往路か復路どちらかを仙水峠経由で。巨石連なる独特の景観と、峠から見る摩利支天が圧巻。

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(上の写真)仙水峠からの甲斐駒ヶ岳(左)と摩利支天(右)クリックすると大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図41「北岳・甲斐駒」

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