2012年10月6日(土曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第10山】谷川岳 1977m「ふたつの世界一」

「あなたにとって谷川岳のイメージは?」この質問への回答によって、おおまかな年齢が判定できると言っていい。速攻で「魔の山」と答えた人は50歳台以上。「魔」以外のイメージ、あるいは「知らない」との返答なら30歳代以下とみなせよう。40歳代あたりが両者の境界だろうか。

かつての谷川岳は、遭難者数で世界一と言うありがたくない記録で名を馳せた。遭難の大半は岩場でのロッククライミングに伴うものだった。戦後の混乱期を経て、一ノ倉沢など日本有数の岩場にクライマーが群がり、今日とは比べ物にならない程の不十分な装備もあって、遭難が頻発したのである。事態の大きさに社会全体が反応し、マスコミを賑わした。そのため子供であっても「谷川岳は魔の山」との刷り込みが出来てしまったようだ。

その後、クライミング技術は進歩し優良な登攀用具が続々開発され、また谷川岳に向かうクライマー人口が減ったこともあって、遭難件数は激減した。事故がなければ社会的に谷川岳が話題になる事もなくなり、若い世代はリアルタイムで怖さを知らずに済むようになった。これが、谷川岳へのイメージのジェネレーションギャップを生じさせたのである。

谷川岳はクライマーのみならず、ハイカーにも格好のルートを提供してくれる。連峰が長く続いているので、アルプス縦走の様な達成感も味わえる。残雪が豊富で、雪のラインがこの山系をさらに美しく彩る。雪の多さから、かつて氷河が存在した証拠を探ろうと学者が躍起になっていた。本来氷河は緯度が高く標高も高い場所でないと存在しない。日本なら3千m級のアルプスクラスにしてギリギリで該当、と言う具合に。それがつい数年前に氷河の痕跡が確認されたのである。北緯36度で標高僅か1000mくらいの所での氷河痕は、世界的な大発見と騒がれた。

だが、一般の人の脳裏に焼き付くようなニュースではなかったようだ。当の谷川岳にしてみれば、遭難者数などより、世界的に意義のある氷河地形ということを記憶に留めて欲しいと思っている筈なのだが。

◆おすすめコース
天神平ロープウェー-谷川岳往復(4時間:初級向け)※ 1泊が必要になるが、主稜線を北方や西方に向かって縦走すればさらに豪快。

1317-2-

<上の写真>谷川岳の雪景色(クリックすると大きく表示します。)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図16「谷川岳」

Copyright (C) 2003 Yokohama City Labor Union. All rights reserved.