2008年5月1日(木曜日)[ 絵本ひらいてみませんか ]

第46回「おだんごぱん」

えほんの写真訳 瀬田 貞二
絵 脇田 和
福音館書店



 小学校での読みきかせの会に、仲間が1人増えました。
 4月、1年生の教室で「とうさんかあさん」(ながのひでこ作 葦書房)を読みましたら大うけ。この様子を見てその新人さんの感想は「毎月1年生に来てあげたいですね」

 でも残念なことにメンバーが少なくて次回は秋になるでしょう。その時はこれを、と考えているのがきょうの絵本「おだんごぱん」です。
 ロシア民話を元に、いろいろな絵本作家が出版しています(題名は違います)。

 私は、この瀬田さんの訳が一番雰囲気をそこなわず、余分な修飾語がないので好きです。子どもにとっても、理解しやすいと思うからです。
 長く読み継がれている「三びきのやぎのがらがらどん」や「チムとゆうかんなせんちょうさん」も瀬田さんの翻訳、となれば納得でしょう。

 《むかし むかし、ひとりのおじいさんが、なにかおいしいものがたべたくなって「ばあさんや、ひとつ、おだんごぱんをつくってくれないかといいました」》
 おばあさんは、家にはそんな粉などありませんよ、と素っ気ないのですが、おじいさんは、粉箱をゴシゴシひっかけばどっさりあると食いさがります。

 どっさりはなかったのですが、それでもやっと1つ作ってかまどで焼きます。
 焼き上がり、窓のそばで冷ましますが、ここからがただのおだんごぱんではなく、感情を持ったぱんに。
 《おだんごぱんはじいっと じいっとしているうちにさびしくなって…》
 コロンと椅子の上に転がり落ち、そのまま床から戸口、おもての通りへと出て行きます。 とうとう野原まで転がっていき、うさぎに会います。

 うさぎにパクッと食べてあげよう、と言われ「やだね」と、どうやって生まれたか、どうしてここまで来たかを歌にして聞かせます。
 そしてコロコロ逃げて、次から次に動物に会い、同じ手段で煙にまきます。最後に、きつねに言葉巧みにだまされ、パクッ! 

 脇田さんの、茶を主にした抑えた色調の絵も、お話の展開の邪魔をしません。
 しばしば「可愛らし」かったり、余計な描き込みのある絵本がありますが、その対極に脇田さんの絵はあるのでしょう。一見地味でも子どもは楽しんでいます

「横浜市従」第1205号(2008年5月1日)より

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