2012年12月10日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第14山】塔ノ岳1,491m 「馬鹿尾根」再発見

神奈川の屋根:丹沢山系。登山コース縦横の丹沢にあって、最もハイカーの人気を集めているのが表尾根の塔ノ岳である。眺めは雄大。昼には波涛のように広がる丹沢山地の奥に富士山がそびえ、相模湾が碧く輝く。夜には横浜・東京の夜景が地平を彩る。山頂は公園の如く広く開け、老舗の山小屋もあって、まさに登山客のメッカ。シーズンの休日ともなれば広い山頂も人で溢れかえる。

その塔ノ岳に、山麓から一気に突き上げる尾根道がある。丹沢の表参道とも言うべきこの尾根、正式名称は登山口の地名を取って「大倉尾根」と言うが、登山客は親しみをこめて「馬鹿尾根」と呼ぶ。愛称とは言え、なぜこんな名前が?ひとつには単調な一本調子の登りであること。標高差が大きく体力的にきついこと。夏は灼熱地獄だし、冬は足元の霜柱がぬかるんで泥沼地獄と化す。大半がスギの植林帯の中で眺めが単調なこと。あれこれ文句は多いがそれは人気の裏返しでもある。だからここに何回も通った人は多い。何度も通えば、尾根の様子も記憶にインプットされ、労力や要所要所での息遣いまでが脳裏に刷り込まれる。要は尾根一帯の気分を身体が覚えてしまうのである。

経験者にとっては、この尾根そのものが登山の定規足りうる。山麓の大倉から塔ノ岳山頂までの標高差は1200m。ランドマークタワー4つ分。この1200mの労力を身体が覚えているから、他の山にチャレンジする時の格好の指標になる。「今度の山の登りは1000mか、馬鹿尾根弱の仕事量だな。」

また、何度も通ううち、始めの頃は見えてなかった景色が見えてくる。コースのほぼ中間・堀山付近は、アカマツのゆったりした並木道、富士山の見える見晴らし台もある。いかにも助さん格さんを従えた水戸老公が出てきそう。他にも杉並木街道風の尾根筋や、山頂直下のブナ林など、取って置きの見どころは多い。きつい尾根の上り下りに余裕が出てきてこそ見えてくる風景。「馬鹿尾根は味わい深くて面白い」と言えるようになれば、ベテランハイカー・お山の達人レベル、と言ってもいいだろう。

◆おすすめコース
大倉バス停-駒止茶屋-花立山荘-塔ノ岳(登り4時間、下り3時間:中級向け)※体力的にはきついが、よく整備され四季を通じて歩ける。

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(上の写真)塔ノ岳山頂からの大パノラマ(クリックすると大きく表示します。)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図28「丹沢」

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