2013年2月4日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第17山】八丈西山854m「複雑怪奇な火口世界」

八丈島はひょうたん形をしているが、その西側の膨らみの頂部に当たるのが西山、通称八丈富士である。その名の通り鉢を伏せたような形の良い富士山タイプの山であり、山頂まで明るい緑に覆われ「緑富士」などと呼びたいところだ。ところがこの山、見た目ほど単純ではない、どころか山頂部の地形の複雑さでは他の追随を許さない。富士山同様に山頂には火口が開けるが、この火口が曲者。富士山の場合は単なる深い穴だが、ここでは内部で二重三重の噴火活動が行われた結果、複雑極まりない地形となった。では順を追って西山登山を進めてみよう。

初めは富士山を登るように急な登りをこなすが、背後に海が見える以外は単調な風情。それが火口壁に至るや風景が一変する。火口の大きさ・縁の高さや危うさもさることながら、その巨大な凹部を埋めるが如く中央火口丘が競り上がってきている。続いて火口を一周、中の光景は歩くごとに変化する。とりわけ驚くのは火口丘の一部が深く落ち込んでいて巨大な穴となっており、穴の底に立派な森林が成立していることだ。穴の壁は垂直に近く容易に人を寄せ付けない。まるで南米辺りにある人間界とは隔絶されたロストワールドを思わせる。地元ではこの森を「地底森林」と呼ぶ。SFじみた光景である。

火口外縁の一周が終わったらいよいよ内部を目指す。まずは小さな神社に参拝して火口壁を下る。底にはさらに細長く深い溝が走っていて簡単には進ませてくれない。ラストは中央火口丘に登り上がる。そこで待っているのは正に山上の楽園。丘の頂部は少しくぼんでいて、低い所に水が溜まりいくつかの池が点在する。周囲はゆったりした草むら。風景の切り方によっては尾瀬を彷彿とさせるようなロケーションなのである。火口壁より低いので強風の気象条件であっても風が当たらない。ここまでの荒々しい光景とは真逆の、穏やかな別天地なのだ。

火口の直径は僅か500m余り、小さな世界にこの賑やかさ。単位面積当たりの地形多様性で比較したら、八丈西山はニッポンでもトップクラスだろう。

◆おすすめコース
七合目-火口壁一周-中央火口丘-七合目(5時間:中級向け)※強風時の火口一周は危険。穏やかなら冬場でも安心して歩ける。

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(上の写真)中央火口丘の「山上の楽園」(クリックすると大きく表示します。)

◆参考地図・ガイド ◎山と渓谷社:「東京都の山」 国土地理院2万5千分の1地形図「八丈島」

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