2008年5月15日(木曜日)[ メディアを問う ]

「憲法で考える」大切さ

関東学院大学教授 丸山 重威

 職場に新入社員、学園に新入生が入ってくる。年度末に去った人もいる。春は出会いの季節。
 その春、政治の混迷が続き、日銀総裁が不在になり、ガソリン税はとにかく引き下げられ、一方で後期高齢者医療制度が始まった。
 政治報道は政治家の言動をチェックしながら詳しく報道するが、問題の具体的内容や、その方向性については全くと言っていいほど報道しない。

 例えば、高齢者医療制度は75歳という年齢で全く違う制度に移行させようとするのだから、およそ憲法14条の「法の下の平等」に反すると思うが、そんなことはどこの新聞にも載っていない。要するに憲法の理念はどこかに飛んでいってしまっている。

 この4月、憲法を読み直し、職場の問題として考える運動を始めたらどうだろう。
 公務員は「憲法に従って、全体の奉仕者として働く」ことを宣誓する。民間でも憲法を無視していいはずはない。
 例えば、働く者の権利はどうだろう。「同一労働、同一賃金」は原則で、仕事が同じなら、派遣社員と正社員に差別があってはいけないはずだが、賃金実態はどうか? 長時間労働が命と健康をむしばんでいないか? 時間外手当が正当に払われているか? まともな生活ができる賃金が支払われているか?

 国税庁の民間給与の実態調査によると、年収2百万円以下の労働者は既に1千万人を超え、実に就業者の23%に達した。「格差」は既に貧困を生み、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障した憲法25条の生存権を脅かしている。

 小泉、安倍政権以来、憲法改正論が幅を利かしたが、その目的が明らかになるにつれ、急速に支持を失った。
 憲法は9条だけではない。いま、あらゆる場で憲法を生かすこと、「憲法で考える」ことが求められている。

「横浜市従」第1206号(2008年5月15日)より

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