2013年3月7日(木曜日)[ 見解・資料 ]

2013年度横浜市予算案 市従の見解

「防災・減災」など市民の暮らしの安全・安心への対応は強調するも、民営化・委託化の推進と市民・職員負担増、企業誘致・大型開発は拡大、将来負担増の予算案

~2013年度予算案について~

 1月31日林市政任期最後の予算案(2013年度予算案)が発表されました。

予算規模は、安倍内閣が景気浮揚をうたい文句にした国の補正予算の影響を受けて編成された、2012年度2月補正予算分と土地開発公社の解散にともない横浜市が負担を肩代わりする分、1,383億円の市債発行を加えたものとなり、例年との比較がしづらい予算案となっています。

 

1.13年度予算案の概要 

林市長が就任から4度の予算編成で一貫して強調(重点)としている項目は、待機児解消・小児医療・教育環境などの子どもへの施策と中小企業支援・企業誘致・ハブポート化の推進などの経済政策となっていますが、次年度の予算案では、重点取り組みの第1に「市民の命と暮らしを守る」として、減災・暮らし・医療を前面に打ち出しています。しかし、昨年まで、「成長戦略」の位置づけであった横浜環状道路の整備事業を「緊急輸送路ネットワークの事業」として、減災の項目に入れるなど一貫性の無い打ち出し方となっています。

また、これまで横浜市は、「横浜方式のプライマリーバランス」を重視し、市債の新規発行を抑制しつつ返済を急ぐことによって、市債残高を減らしてきましたが、次年度は、土地開発公社の解散にかかる新たな負債「第三セクター等改革推進債」を発行することにより、「横浜方式のプライマリーバランス」が崩れることになります。しかし、それを除いて「横浜方式のプライマリーバランス」を堅持しているとしています。

 

2. 市民の要求に応えた予算案になっているのか

横浜市民意識調査での市政への要望と予算案を見てみると、①地震などの災害対策 ②病院や救急医療など地域医療 ③防犯対策 ④通勤・通学・買い物道路や歩道の整備 ⑤高齢者福祉、がベスト5となっており順位は入れ替わっていますがこの5項目中4項目が4年連続で上位を占めています。昨年までベスト5に入っていた「高齢者や障がい者が移動しやすい街づくり」は7位でした。市長が一貫して力を入れてきた、「保育など子育て支援や保護を要する児童への援助」は昨年15位から8位(22.7%)と要望は増えていますが、予算は減額されています。次年度大幅な予算増は震災対策だけであり、毎年上位の要望である高齢者福祉・地域医療に対しては横はいであり、新たな施策は見当たりません。

また、調査項目の「生活上の心配ごと」で30%を超える回答が寄せられた項目は①自分の病気や老後のこと②家族の健康や生活上の問題③景気や生活費、であり前年より回答率が高くなった項目は、①事故・災害のこと②子どもの保育や教育のこと③仕事や職場のこと④失業・倒産や収入が減ることとなっており、これらの項目に対する、まさに「市民の命と暮らしを守る」施策への大幅な予算増が必要ではないでしょうか。

 

 

<特徴的な項目の予算の推移>

 

 

2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

待機児解消 84億6600 135億100(159.4%) 165億5800(195.6%) 122億5500(144.8%)
放課後児童育成推進 43億9100 44億5200(101.3%) 44億3300(100.9%) 45億5500(103.7%)
小児医療費助成 61億9900 66億3400(107%) 65億7000(105.9%) 75億9500(122.5%)
特養ホームの整備 35億9000 23億    (64.1%) 22億9300(63.9%) 27億0900(75.5%)
企業誘致促進事業 17億8100 24億1900(135.8%) 29億2200(164.1%) 29億3200(164.6%)
横浜環状道路 77億6600 114億2300(147%) 122億4500(157.6%) 141億3800+80億400(12補正)(285.1%)
地方道路の整備 73億6300 71億2300(96.7%) 69億4000(94.2%) 69億5500+17億700(12補正)(117.6%)
ハブポート化の推進 50億2800 74億200(147.2%)

155億2800(308.8%)

93億6400+49億3600(12補正)(284.4%)

 

3.  職員定数は

昨年に引き続き生活保護世帯の増加などにより、増員となる職場も出ていますが、民営化・委託化の推進による現業職場を中心とした減員により、昨年を上回る50人の削減としています。

業務量の増加や新規事業の人員は民間委託や、嘱託職員の増員により対応し、減員は、業務がなくなり削減したのではなく保育所の民間移管4園、学校給食の民間委託8校、家庭系ごみ収集体制の委託化増、区の検査業務の委託など、業務の担い手を、非正規の嘱託職員や業務委託による不安定雇用の民間労働者に置き換えることをすすめ、「官製ワーキングプア」を生み出し、本来自治体がなすべき公的責任を放棄し、安定した雇用対策にも逆行するものです。企業誘致のための予算を大幅に増額していますが、固定資産税を大幅に減免して大企業を誘致する取り組みより、雇用の確保・増大への取り組みのほうが効果的ではないでしょうか。

 

<職員定数の削減と非常勤職員の増加>

  

2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

職員定数

▲203人

▲72人

▲35人

▲50人

非常勤職員

+393人

+263人

+136人

+13人

 

 

4. 厳しい財政状況をまくらことばに

毎年大幅な事業見直しによる縮減をおこない、業務委託や民間化、嘱託職員の導入による大幅な職員定数の削減と、受益者負担の適正化として公共料金の値上げ等、住民負担増を行なってきました。次年度に向けては、102億円の削減となっています。各種助成金・補助金・委託料の見直しの削減等が、職員や住民の地域活動に及ぼす影響などは不透明な部分もあります。

 

 <事業見直し・経費削減>

 

2010年度

2011年度

2012年度

2013年度

内部経費の見直し

27億円

32億円

11億円

38億円

民営化・委託化の取組

4億円

4億円

2億円

4億円

使用料等の見直し

0.1億円

2億円

18億円

1億円

その他事業の見直し

91億円

42億円

47億円

59億円

(補助金・委託料の見直し)

26億円

29億円

19億円

12億

 

5. 直接的に市民要望に応える予算の強化こそ経済活性化・市民の命と暮らしを守ることに

公共事業などの「施設等整備費」が一般会計に占める割合は、14.6%(対前年度6.5%減)となっていますが2月補正をあわせると(対前年度12.8%増)となり、大型公共事業の増加が顕著です。国庫補助事業より、市の単独事業の比率が大きく、市長の方針が反映しているあらわれでもあります。国際コンテナ戦略港湾・横浜環状道路整備の2つの事業だけでも348億円(+80億円)や事業が開始されれば大きな予算となるエキサイトよこはま22を含む横浜駅周辺のまちづくり事業予算また、新たに計上された都心臨海部再生マスタープランなど大型公共事業をさらに進めようとしています。財源の性格から公共事業を見直し、その予算をストレートに福祉・医療の充実の施策などにまわすことにはなりませんが、将来市民へ大きな負担となる事業は継続し進めています。エキサイトよこはま22、都心臨海部再生マスタープランなどは防災の観点からの街づくりなのでしょうか、せめて計画の段階から十分に市民に説明すべきではないでしょうか。

また、現在検討が進められている「新市庁舎建設」は、現在の市庁舎周辺ビルでの事務スペース確保の状況、安全や非効率性の解消など職員として期待する面もありますが、いずれの案も北仲通南地区へのビル建設を前提としており、結論ありきで進んでいるのではないでしょうか?一番経費がかからない案でも850億の予算規模になっています。もっと時間をかけた議論と市民への説明が必要ではないでしょうか。

高齢者の比率が増えていく状況で特別養護老人ホーム(緊急性の高い申込者が1年以内に入所可能という目標でいいのか疑問)・ゼロ予算の市営住宅などの建設も公共事業ですし、強調していますが、予算の少ない地元中小業者に発注する公共事業を増やしていくことこそ、「ピンチをチャンスに変え、あらゆる人や企業が活気にあふれ魅力的な街づくり」につながるのではないでしょうか。また、地元雇用の確保・労働者の賃金を保証しワーキングプアをなくするためにも「公契約条例の制定」が必要ではないでしょうか。

 

予算案の発表に際しては、毎年行っている「市民意識調査」の市民からの要望・市民生活上の不安の解消に対してどのような施策を取ったか、また市債を発行して行う大型公共事業については将来の横浜にどのような経済効果をもたらすのかもっと具体的に説明すべきものと考えます。実質的に政策的に使える予算が減少している中で、強調された施策の影で、市民生活に大きく影響を及ぼす予算の削減が行われていないのかどうか更なる検証が必要となります。各職場から局別の予算を精査・研究していくことが必要です。

横浜市従は、引き続き「横浜市で働いてよかった」「横浜市で暮らしてよかった」と思える予算編成を求めて奮闘していきます。

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