2013年3月25日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第20山】猿山1,000m「実は奇跡の原始境」

山にはうるさいZ氏が、近々また山に登るらしい。

「今度は何処の山ですか?」
「猿山に登ります」
「さるやま、ですか………」

と言いつつ内心では、
『なんだこの人、ご大層な支度をして猿山へ行くんだってさ』とせせら笑われるのがオチかもしれない。

もちろん、ここで紹介するZ氏が狙っているのは動物園の猿山ではない。伊豆の山というと天城山が有名だが、猿山は標高こそ低いものの、伊豆半島のほぼヘソの位置、最も奥深い所に位置するヤブ山なのである。

この山のオンリーワンは、まずはその標高にある。かつては公称九九九mとなっていて、スリーナイン、9のゾロ目ということで名を馳せていた。ところが近年になって精密な測量が行われたところ、ジャスト1000mであることが判明。それも「1000・0m」、実に10㎝単位までドンピシャリの千mというわけだ。

かくも希少でありがたい山なのだが、残念ながら登山道はない。だが、地図と方位磁石(今ならGPSか)を頼りに山頂に至ればそこには驚きの大自然が待っている。ブナの巨樹が連なる原生林が広がっているのだが、ここで特筆すべきはブナに交じってアセビ(馬酔木)の巨木が林立していること。アセビは細かい葉を持つ常緑樹で有毒であり、馬が食べると文字通り酔ったようになることから付けられた名前と言う。伊豆や箱根の山中に多く見られるが、単独か、せいぜい並木の様に連なるくらいで、これほどまとまった森をなしている例は他に知らない。

山麓はスギなどの植林が進んでいるから、山頂付近に残された豊かで原始的な自然が如何に貴重であることか。一帯はピークとは思えないほど緩やかで広大。鬱蒼とした樹は複雑に枝を巡らせ、メルヘンチックと言うよりはちょっとミステリアスな雰囲気。もののけ姫やトトロの世界と言ったらイメージを伝えられるだろうか。とにかく首都圏に近い奇跡的な原始境なのである。探訪者が少ない方が自然にはいいが、無闇な開発などされないためには、むしろもっと多くの人に知られた方がいい。冒頭のZ氏の株も上がろうというものだ。

◆おすすめコース
天城峠―三蓋山―猿山(往復6時間:上級向け)※ルートの無いヤブ山であるので地図が読めることが必須。

1333-yamayama

(上の写真)ゆったりとした猿山の稜線(クリックすると大きく表示します。)

◆参考地図・ガイド ◎国土地理院2万5千分の1地形図「湯ケ野」

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