2013年4月4日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第21山】高尾山599m「身近で危うい自然境」

高尾山ハイキングが、富士登山と並び空前のブームとなっている。片やニッポン一の山に対して、山歩き入門の大衆の山として、今日の山ガールブームの火付け役となった観がある。なぜ高尾山なのか?都心から近く登りやすい、その割に自然が豊富であること。またケーブルやリフトで上がってしまえば公園の散歩感覚で山頂まで行かれてしまう点も見逃せまい。ただやはり、お気楽コースでは高尾山の自然の豊かさ・貴重さは伝わってこない。

あまりに身近過ぎる高尾山だが、実はニッポン有数の貴重な自然が秘められている。生息する植物の種類が約1600種。日本全国の実に30%を占め、個別の山ではダントツでニッポン一という。これは山の南斜面では暖地性の植物、北斜面では寒冷地性の植物、その境界線が絶妙な位置に付けていて、本来なら矛盾するはずの双方の植生が万遍なく見られるためという。

かように山全体が天然記念物とも言うべき貴重な自然境なのだが、近年危機に瀕している。駅から高尾山へ南尾根を回るルートを辿ると、突然南側の山あいに巨大なループ橋が現れて驚かされる。圏央道と甲州街道をつなぐジャンクションだ。圏央道は今を時めく高速道路だが、高尾山の核心部を貫く。建設前は自然保護を巡って広範な反対運動が展開されたが、経済の論理がまかり通り(まったくもって原発と同じ次元である)山腹にトンネルが穿たれ、大規模に植生を削り取って巨大なインターチェンジが建造された。ちょっと惜しいと思うのは、一連の建設騒動が起きたのは、高尾山がブームになる前だったことである。今日の様な社会現象というほどの隆盛をみていたら、反対運動も遥かに盛り上がったのではないかと思うのだ。建設中止とはいかないまでも、少しでも自然へのインパクトを少なくする配慮くらいはなされたのではないか。

自然保護にはタイミングが何よりも重要だ。せっかくのブームを、有益な形で生かすことが出来なかったのは残念である。だがせめて、高尾山がいかに繊細で貴重な自然境であることを、山を訪れた人に知って頂き、その知見を周囲へ広めて欲しいと切に願う。

◆おすすめコース
※コースは網の目、どこでも。駅から歩くも良し、陣馬山方面から縦走すれば堂々1日コース(初級向け)

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(上の写真)高尾山稜の景観、右下に高速道のトンネルが(クリックすると大きく表示します。)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図27「高尾・陣馬」

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