2013年5月8日(水曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第23山】九重山 1,791m「一発か程々か?」

ひとつの山に複数の山名が付いている例はけっこうあるのだが、読みは同じなのに漢字が二通りある山となると珍しい。その代表格が、九州中部、大分と熊本に跨る九重(久住)山である。

山麓の北側に九重町、南側に久住町(今は竹田市に合併)があって、山脈を挟んで本家争いをしたのだろう。結局のところは山地全体を九重山、主峰を久住山とすることで双方痛み分けとなった。

一方で国立公園名もすったもんだの挙句、「阿蘇くじゅう国立公園」に落ち着く。なんともニッポン的な決着法であるが、知らない人が「くじゅう」を見たらまず連想するのは「苦渋」だろうから、あまり感心できるネーミングではあるまい。とまれ、ここでは連峰全体を指す九重で以下述べさせていただく。

九重山の名の通り、山地一帯には数多くの火山が連嶺をなしている。どの山も隣の山との間の落ち込む高度差が300m程と小さく、九重登山では次から次へと峰々を征服していくことになる。つい1時間ほど前に登った山を別の山から眺められる感覚は何とも楽しい。

九重登山の旬はなんと言っても六月上旬だ。ツツジの仲間:ミヤマキリシマが、連なる山々にピンクのパッチワークを描き出す。芽吹きの頃の春山をパステルトーンとグラデーションの世界とすれば、九重の六月はまさに油彩の世界。メリハリの効いたキレのいい色彩に圧倒されるのだ。

ただ、残念なことにその頃の九州と言えば梅雨時の豪雨が度々見舞う。天候重視なら秋の方がいい。10月末頃なら、台風が終わり冬の季節風の吹き出す前で晴天率が高い。ちょうど紅葉シーズンに当り、花の季節ほどではないにせよ景観は魅せてくれる。山の神様は二物を与えなかったわけだが、地元の人ならともかく、そんなにやたらとは来られない遠方の登山者は悩まざるを得ない。成功率は低いが一発当てるのなら初夏、成果はそこそこでも確実に行きたいのなら盛秋狙い。まるでギャンブルの発想。九重登山の時期設定に、登山者の人生観が反映されているようで面白い。

◆おすすめコース
牧ノ戸峠‐久住山‐法華院温泉(泊)‐大船山‐豊後竹田(8時間:中級向け)※せっかくだから山中の秘湯に泊まってゆったり巡ろう。法華院温泉は風呂はもちろん食事・設備・多彩なイベントなど山小屋環境の良さではニッポン有数。

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(上の写真)晩秋の九重連山(大船山から)クリックすると大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図56「阿蘇・九重」

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