2013年6月11日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第25山】石鎚山1982m「標高よりも山姿」

石鎚山は四国の最高峰だが、しばし「西日本の最高峰」とのキャッチフレーズが使われる。西日本の定義となると些か曖昧だが、近畿地方以西と考えればいいだろう。ところが西日本一と言っても、掛け値なしに威張れるものでもない。東日本には、より高い山がそれこそ無数にあるのだし、西日本第二位は同じ四国の剣山だが、二七mしか違わない。意地悪な見方をすると、井の中の蛙が背比べをしているようなものではないか。

開山の歴史が古いことでも特筆される。「伊予の高嶺」として万葉集にもその名が見られ、古来霊場として今でも七月上旬の例祭では白装束の山伏や信者が列をなして登山する。山頂直下に懸る長大な鎖が修験の山であることを物語るが、この鎖からして他の山の鎖場に懸る物とは造りが違う。輪の一コマ一コマが巨大で、全体の長さも飛びぬけて長い。苦行の果ての登頂という、信仰登山の道具立てにはいかにも相応しい。

外観も修験の山にぴったりだ。その名の通り、巨大な岩峰から成っており、急峻で厳つい山姿を見せている。山頂部は三つのピークで構成され、その内のひとつから別のピークをごく近くに眺めると、三角定規をそのまま立てたような急峻な姿に驚く。一方、山全体を見るのなら、一日足を伸ばして谷を隔てた山・瓶ヶ森まで行くに限る。足元の広大な笹原(氷見二千石原と言う)の向こうにどっしりとそびえ立つ石鎚の勇姿が絶品だ。左右に雄大に稜線を引き、中央部に「石鎚」そのものの巨大な四角形の岩塊が乗っかっている。一度でもこのシルエットを見たら強烈に脳裏に残るに違いない。

このすっきりとした独特の山姿こそは、他にない石鎚のオンリー1と言えよう。岩峰あまたの日本アルプスでも似たような山は見当たらないのだ。冒頭で述べた西日本最高峰が相対的№1なら、このスタイルこそは唯我独尊的№1なのである。なにも無理して西日本一を強調しなくても、山の形状の自慢だけで十分にニッポン中にアピールすると思うのだが。

◆おすすめコース
成就社―石鎚山(泊)―瓶ヶ森(泊)―西之川(12時間:中級向け)※登って満足、眺めて満足するには二泊を山上の小屋で泊まって縦走するしかない。

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(上の写真)瓶ヶ森から見る石鎚山。クリックすると大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図54「石鎚・四国剣山」

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