2013年6月24日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第26山】一八三九峰1842m「『標高=山名』の特例」

日高山脈は、北海道の中南部で十勝地方と日高地方を分ける。標高こそ二千mをようやく超えるクラスだが、山脈全体の広さでは、北アルプスや南アルプスを凌ぎ、ニッポンイチだ。また、開発が進まず原始の度合いにおいては圧倒的な№ワンを誇る。野生ヒグマの多さ、山の奥深さ、現代ニッポンにこれだけの原始境があるのは驚異的だ。

日高の個々の峰はアイヌ語系の影響で、ペテガリ岳やイドンナップ岳など外国の山か?と思える様な名前が多い。また、人里離れた山には無名峰も多く、地形図を作る様になってからは、やむを得ず(?)その山の標高を以って山名とした例が少なくない。

一八三九峰も、そんな無名峰のひとつである。日高でも最奥に位置し、拳を突き出したような独特のスタイルは、山脈中のあちこちから見分けがつく。そんな目立つ山が無名であったのは、奥深くて人間生活の場である麓からは見えにくかったからだろう。姿・位置・存在感、それらが混然となった、日高ファンの岳人にとって憧れの山のひとつであり、いつしか敬愛をこめ数字読みで「いっぱあさんきゅうみね」と呼ばれるようになったのである。

ところが戦後の正確な測量で、標高一八四二mであることが判明する。当然ここで山名も変わるべきだったのだろうが、例の「いっぱあさんきゅう」の響きが良く、呼び慣れていたこともあって、岳人の間では従来通り一八三九峰で通っていた。一部には名称存続の運動もあったかもしれない。お堅いはずの旧建設省国土地理院(地形図の発行元)を動かし、ついに一八三九峰の名が公認されるに至る。結果、地形図には標高が「1842」と表記されていながら、その上にずっと大きく「1839峰」と山名記載されているのである。

無名→暫定標高名→標高訂正→山名継続と、名前の点で数奇な運命をたどった山。北海道の最奥地という特異な環境ゆえに、超個性的な名称を持つに至った、ニッポン有数の秘峰といえるだろう。

◆おすすめコース
札内川-ヤオロマップ岳-一八三九峰(往復25時間:上級向け)※沢歩きやヤブ漕ぎに加え、最低でもテント2泊で水も上げねばならず、とても一般向きとは言えないが、 有為の方は是非チャレンジを。

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(上の写真)人跡稀な1839峰の山頂。クリックすると大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎国土地理院:2万5千分の1地形図「岩内川上流」「札内川上流」「ヤオロマップ岳」

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