2013年7月16日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第28山】山上ヶ岳1,719m「女人禁制!?の山」

ニッポンの信仰登山の歴史は奈良時代以前にさかのぼる。だが、富士山を始め山の大半は女人禁制であった。明治時代に入ると次第に禁が解かれ、現在では只一山を除いて登頂に性差別はなくなった。その唯一の例外が(今時、ちょっと信じられないかもしれないが)、奈良県中南部に伸びる大峰山脈の中核に位置する山上ヶ岳である。

現地では山頂を含む10×3㎞くらいのエリアが女人禁制となっている。山頂にはニッポン最高所の重要文化財・大峯山寺が建ち、直下には大型の宿坊が数軒並び、厳しい岩場には修験のための行場が連なる。ホラ貝を持った修験者や、信仰登山の流れを引く「講」による白装束の団体登山が目を引くが、今を時めく山ガールの姿は全くない。

ではどうやって女性の入山を排しているのか。山上ヶ岳に至る登山道は三本あり、結界(禁制エリア)に懸る所に門があって「女人禁制」の看板が立っているだけある。監視人などはいないから、入ろうと思えば女性でも入れる。だが、結界の中は修験者を始め講の先達(案内人)などがいるから、見咎められて結界を出るよう促されるはずだ。

現実には暗黙の内に宗教的伝統を認めているようで、女性の姿を見ることはまずないという。ただ、ボーイッシュな女の子なら見分けがつかないし、寺や宿坊が閉鎖される冬期には、登っている女性もいるらしい。要は伝統を守るか、アナグロニズムと決めつけるか、一人ひとりの心の持ちようの問題なのである。

ここで注目したいのは、世界遺産となっている「紀伊山地の霊場と参詣道」に、この山上ヶ岳の仏閣やルートも含まれているということだ。鎌倉に肘鉄を喰らわせた、あの厳正無比のイコモスが、女人禁制の事実を知らずして世界遺産に認定したはずがない。つまりは、女人禁制をも伝統として認めたのである。

女性の方にはご不満もあろうが、今や堂々女人禁制を貫いているのは大相撲の土俵と、この山上ヶ岳くらい。男性の草食化が叫ばれている昨今、絶滅危惧伝統として認めてあげてもよろしいのでは?

◆おすすめコース
清浄大橋―レンゲ辻―山上ヶ岳―清浄大橋(4時間:初級向け)※女性向けには近くに稲村ヶ岳がありおすすめ。男子禁制ではないが、男性の姿は少ない。山上ヶ岳よりもむしろ姿がいい。

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ここが結界の入口だ!(クリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図50「大峰山脈」

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