2013年9月19日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第31山】櫛ヶ峰1517m「南八甲田の重鎮」

八甲田山は多くの火山の集合体であるが、十和田湖へ抜ける国道を挟んで、北八甲田と南八甲田に区分される。一般的に親しまれているのが北八甲田で、宿泊の拠点となる酸ヶ湯温泉や、ロープウェーなどの観光施設が整う。登山の対象としても、八甲田大岳が日本百名山であるなど多くのハイカーを集めている。

一方の南八甲田である。国道の南側から十和田湖にかけて広がる膨大な山域で、エリアとしては北八甲田よりも広い。ところがこちらは観光施設は皆無で、温泉も国道沿いにあるのみ。登山ルートについても何本か付いてはいるが、辿る人となると北八甲田の1%もいないだろう。

つまり南八甲田とは開発の進んでいない一大原始境なのである。ムードでは北八甲田に通じるものがあるが、よりスケールの大きさを感じさせる。そしてこのエリアを代表する山が櫛ヶ峰である。標高では八甲田大岳より70m程低いが、山裾の広がりが大きく周囲の山との距離があるので、雄大でどっしりした印象が強い。ところが登山するとなると、南八甲田でも最奥に位置するのでかなりの労力を要する。かつてはエリア内でテントを張ることができたのだが、近年は自然保護の観点から規制が強くなり、全域でテント禁止となった。警察にテント泊前提で登山届を提出すると「テントはご遠慮を」と電話が掛かってくるほどだ。

ならば日帰りで行くしかないのだが、日帰りの行動時間としては上限ギリギリのタイムを要する。日の短い秋などは、早朝に出発しなければならない。しかもルートが悪い。「洗窟」といって、登山道がドブの様にえぐられ底に水が溜まっているような箇所が、当たり前のように出てくるのには閉口させられる。

とは言え、山頂に至るまでのプロセスは魅せてくれる。針葉樹に囲まれた絵の様な湿原が随所に現れ、山頂直下の広大な湿原は尾瀬ヶ原を歩くような感覚、ここから見る櫛ヶ峰は尾瀬の至仏山を彷彿とさせる。山頂からの展望では、北八甲田の峰々が仲良く並んでいるのが印象深い。整然とした北八甲田とアバウトな南八甲田の対照の妙を実感させてくれるのである。

◆おすすめコース
猿倉温泉-櫛ヶ峰(往復10時間:中級向け)※泥水まみれにも負けない様な足ごしらえで入山されたし。

1350-1

これぞ尾瀬風、直下の湿原と櫛ヶ峰(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図4「八甲田・岩木山」

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