2013年12月28日(土曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第38山】富士山3,776m「冬の敵、夏の敵」

冬の富士山で滑落事故があったのは記憶に新しい。夏の富士登山からすると、事故なんか起こるのか?と思われるかもしれない。富士山にはやせた岩稜もなければ、迷いやすい複雑な地形もない。が、冬の富士山ほど恐ろしい山はない。

積雪期の富士山は、ヒマラヤ遠征を控えた岳人に、雪上訓練の場として登られることが多い。ところが、一流の登山家が訓練の最中に命を落とすことは稀ではない。まさにミイラ取りがミイラになってしまうのだ。

富士山は岩場こそ少ないが、単調なスロープが延々と続く。高所では植生がないので遮るものは何もない。ここに雪が積もり日差しで溶融し、夜以降の寒気でガチガチに凍りつく。この結果、山全体がアイスバーンになり、滑ったら最後、時速100kmを超えるような猛スピードとなって滑落してしまう。

オマケに冬の富士山は、下界では考えられない様な強風が見舞う。四つん這いになって踏ん張っていても身体ごと空中へ飛ばされることもしばしばだ。捕まる岩もない。とにかく一度こけたらオシマイ、そのくらい厳しい山なのである。

冬季登山の仇敵が凍結なら、夏季登山の宿敵は高山病である。流行語大賞の候補にもなった弾丸登山、夜中に車で登山口に乗りつけてそのまま暗い中を登り、山頂でご来光を見てその日のうちに下山するというパターン。実はこれが最も成功率が低い。高度障害を発しやすく、登頂できても頭痛や吐き気に悩まされる人が多いし、最悪命にも関わってくる。高度への順応性は体質であって、体力とは関係がない。鍛え上げたスポーツマンより小さい子どもの方が強かったりする。

では成功率を高め快適に登るコツとは?なにより時間をかけて高度順化をすることだ。前日の早い時間に家を出て、比較的低い7合目以下の山小屋でゆっくりと1泊すること。多少長くなるが、登山ルートは須走口がおすすめ。東向きなので、ルートのどこからでもご来光が拝める。真っ暗な中を山頂目指すような無理をしなくても済むのである。

正直、混みあうであろうここ数年は無理して登らなくても、と思う。だが富士山噴火(?)で登れなくなるのも困る。各自のご判断で。

◆おすすめコース
須走登山口-六合目の小屋(泊)-山頂往復(10時間:初級向け)

1360-1

奥秩父・金峰山から見た黎明の富士山(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図31「富士・富士五湖」他にネットでもいろいろ検索できる。

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