2014年5月9日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第45山】位牌岳 1,458m「恐怖の山名」

怖い山名というと谷川岳を思い浮かべるが、これは遭難死者数世界一という負の実績からくるイメージで、名前そのものは怖くもなんともない。一方、名前だけで怖そうなのは北アルプスの不帰ノ嶮と、この位牌岳が双璧だろう。

東海道新幹線に乗って丹那トンネルを抜けると雄大な富士山の展望が楽しみだが、初めのうちはその前方に立ちはだかる邪魔な山がある。それが愛鷹連峰だ。山の景色が重なることからもわかるが、周辺には富士山をはじめ、箱根山など大型の火山が多い。これは偶然ではなく、大陸や海洋を形成するプレートが3つ重なり合う、世界的に見ても珍しい特異点にあるが故だ。もっとも、そのために地震多発地帯でもあるのだが。

愛鷹山も元は富士山タイプの一つの火山であったが、古い山なので浸食が進み、崩壊によって山頂部がいくつにも分かれてしまったのが現在の姿だ。そして連峰中のナンバー2が位牌岳なのである。別段、名前のように危険な山ではない。おそらくは山頂部の形に似ているところがあって名付けられたのだろう。

不吉な名前にもかかわらず、ルートに変化があって山登りの対象として結構人気が高い。立派なブナ林があることもここの魅力である。が、太平洋側の海寄り第一線のブナの例に漏れず、近年では酸性雨による立ち枯れが著しい。良好な森がある一方で、荒れ果てた残骸のような一帯があるのは痛ましい。

山頂は広く、北側に展望が開ける。連峰中の最高峰である越前岳が立派に見えるが、サプライズはその背後にそびえる富士山の高さだろう。思い描いていたより遥かに上、「こんなに高くていいの?」と思ってしまうほど。ことに春や秋なら、青いカンバスに白絵具だけで、ささっと描かれたような潔い図柄に唸らされる。

登頂した人の殆どは元来た方へ下るが、越前岳方面に続くギザギザの稜線を見るとどうしても行きたくなってしまうのが人情かもしれない。が、このルートはかつてはともかく、近年では崩壊が著しい。未熟な技術で行こうものなら、本当に位牌が立ちかねないのでご承知おきのほどを。

◆おすすめコース
水神社-つるべ落としの滝-位牌岳-池ノ平-森林公園(5時間半:初級向け)※他にもルート多数。バス便が良くないので車か、三島駅からタクシー利用

1371-yamayama

富士山と愛鷹連峰(後方左、そこの中央峰が位牌岳)箱根金時山から。上の画像をクリックすると大きく表示します。

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図31「富士山・御坂・愛鷹」

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