2014年6月18日(水曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第48山】早池峰山 1,917m「花より縦走」

著名な高山植物と言えば、広くニッポン中に分布するものと、特定の山にだけ生息しているものとに分けられる。前者は高山植物の女王:コマクサやハクサンコザクラ、チングルマなど、生育条件さえ整っていれば全国各地の高山で見ることができる。後者はキタダケソウ(南アルプス北岳)、ユウバリコザクラ(北海道・夕張岳)など、単独かせいぜい2つか3つの山でしか確認されず固有種と呼ばれる。そんな固有種の中でも一番人気を誇るのが、初夏の早池峰山に咲くハヤチネウスユキソウ(早池峰薄雪草)だろう。

岩手県の太平洋側に広がる北上山地は、日本アルプスを凌ぐほどの広大なエリアに及ぶが山容は大人しく、その中で唯一存在感を発揮しているのが早池峰山だ。岩質が特殊なために浸食に抗して目立つ山として残されたわけだが、その岩質(蛇紋岩など)ゆえに他では見られない特殊な植物が栄えている。その代表選手がハヤチネウスユキソウなのである。

今日、この花がこれほどまでにもてはやされるのは、本場ヨーロッパアルプスの代表的な高山の花であるエーデルワイスに、ニッポンの花の中では最もよく似ているからである。白く見えるのは花びらではなく、苞葉に細かい綿毛が生えたものだが、可憐なお星さまの様な姿が目に訴えてくる。ヨーロッパのような大群落を作るわけではないが、個々の花の比較ではこちらの方がむしろ美しいと言う。

ところが、ハヤチネウスユキソウがお目当てで、全国から登山愛好者が群がるようになる。元々狭い山域なので、かなりのオーバーユースとなってしまったのだ。問題は山頂でのし尿処理。とても自然の浄化作用では間に合わない。そのため、早くからし尿持ち帰り運動(携帯おトイレパックに用を足して、持って下山する)が盛んになっている。

ただ、早池峰山の見所は花ばかりではない。山頂から西方へ、鶏頭山へは森林帯を抜けた快適な尾根歩きが楽しめる。むしろ花以外に目を向けてくれた方が、場所的にも時期的にも一極集中が避けられ、お山の保護にも良いかと思う。山の真の魅力を知るには、マルチに体感してこそだろう。

◆おすすめコース
小田越-早池峰山-鶏頭山-河原坊(9時間:中級向け)※ハヤチネウスユキソウの見ごろは7月の中下旬

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早池峰山のシンボル、ハヤチネウスユキソウ(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図6「栗駒・早池峰」

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