2014年7月4日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第49山】燕岳(つばくろだけ) 2763m「登ってからが魅せる山」

通常、格好いい山というのは遠くから見ての眺めで決まることが多い。富士山しかり、槍ヶ岳しかり。ところが、どんなにイカス山であっても、その山に取り付いて登っている最中や、山頂部では、その美形を愛でることはできない。富士山はいざ登ってみれば、単なる大斜面しか目に入らないし、槍ヶ岳も頂上近くなると、ごつごつした岩肌を見るばかりで槍の造形美とは無縁の世界だ。

遠くからでは美形、近くからでは無粋、そんな山のイケメン法則とは真逆なのが北アルプスの人気峰:燕岳である。山麓の安曇野から眺めてみると、常念岳や鹿島槍ヶ岳など格好いい山が居並ぶ一方、当の燕岳と言えば、稜線上の地味な高まりに過ぎず、山に詳しい人でないと特定できない。北アルプスの山中からでも、白い岩肌を縁取りにした屏風の様に見えて、山らしさが感じられない。ところがどうして、その屏風の縁取りこそは壮麗なオブジェ群であって、見る者を圧倒せずにはおかないのだ。

登山口の中房温泉から長い尾根道を延々と登ってきて、稜線に上がるや風景は一変する。花崗岩(御影石)が絶妙なまでに風化され、様々な造形美を展開している様に驚く。巨岩のモニュメント、窓の開いた岩の屏風などの数々。まるで屋外美術館。作品群の足元は花崗岩の砕けた白砂で埋まり、夏にはピンク色のコマクサなどが華麗な花を咲かせて格好のアクセントになっている。

幸い、稜線上には北アルプスでも老舗にして、最も設備の整う山小屋:燕山荘があって、快適な一夜を約束してくれる。ここの旧館は昭和初期に大金を投じて建てられたもので、どっしりしていながらモダンな造形であって、山上の古城の様な風格が漂う。山の絶頂部にありながら自然ぶち壊しの様な違和感がない。いや、山上の一風景を成しているといっていい。

自然と人工、二つの造形美をじっくりと堪能できるのが、燕岳の真骨頂なのだろう。そんな魅力的な山が、比較的登りやすくてアルプス入門向きというのも初心者には嬉しい。

◆おすすめコース
中房温泉-燕山荘-燕岳(往復9時間:初級向け)※白馬岳などよりも安全度が高く、北アルプスは初めてと言う人にお勧め。夜行無し山頂1泊2日なら行動にも余裕が持てる。

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燕岳(後方中央の山)と燕山荘(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図37「槍ヶ岳・穂高岳」

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