2014年9月2日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第52山】利尻山1721m 「北の果ての特異点」

広大な北海道はその中央部において標高が最も高く、四囲に向かうと低くなる。旭川以北の所謂「道北」も北になるほど大人しい山が多くなり、北端の宗谷丘陵に至って緩やかな丘陵がうねうねと続く。申すまでもなく海はまっ平、そこに浮かぶ礼文島も丘の様な島である。

この平板・平凡な道北エリアにあってのただ一つの特異点が利尻山だ。ずば抜けた標高は周辺の次点ポイントの四倍ほどに及ぶ。穏やかな地形ばかりの中で、天を突き刺さんばかりの鋭鋒、とびぬけて周辺一帯とは対照的なのである。

利尻山は火山であるが、これほど火山地形として分かりやすい山も無い。溶岩の流れ出たエリアはそのまま海岸線を構成し、見事な円形となっている。緩やかな裾野はそのまま傾斜を増していって、一つの鋭鋒に収れんされる。視界を妨げる前山など一切ないから、周囲360度、どこから見ても同様に見えるのである。ニッポンの山多しと言えども、明快さと潔さではナンバーワンといっていい。

明快な火山と言えば富士山を思い出すが、登ってしまうと意外につまらないとされる。肝心要の富士山そのものが見えないからだ。利尻山登山もそんな富士スタイルだが、山頂での感動は別格だ。

まずは、ごく目の下に利尻火山そのものの造形美である文字通りのローソク岩がそそり立ち、風景を引き締める格好のアクセントになっている。そしてなんと言っても周囲360度すべてが青海原なのだ。前方の礼文島は海とのコントラストが見事で、紺碧の海に浮かぶグリーンの巨大ウミウシといったところか。そして対岸には、道北の丘陵状の山々が低く緩やかに延々と続く。利尻山の唯我独尊的な高さ、険しさを肌身をもって認識させてくれるのがこの山頂なのである。平板に無理やり岩山を張り付けるが如き、神による気まぐれな造形の妙を感じ取ることができるのだ。

利尻山は眺めても名峰だが、登ってこそ位置的な特異性を実感できる。日帰り圏ぎりぎりの少々きついコースだが、現地で天気が良い場合は是非ともチャレンジしていただきたい。

◆おすすめコース
北麓野営場-利尻山往復(8時間30分:中級向け)※コースは複数あるが、技術・体力的に、この鴛泊コースのピストンが無難。悪天時は何も面白くない上に危険でもある。登山は好天時に限る。

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礼文島から見る利尻山(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図1「利尻・羅臼・斜里・阿寒」

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