2008年7月1日(火曜日)[ 絵本ひらいてみませんか ]

第50回「となりのせきのますだくん」

絵本の表紙

となりのせきのますだくん
作・絵 武田 美穂
ポプラ社


 

パッと陽が差すと嬉しくて、サァ、今日は部屋の模様替えをしようか、それとも散歩に行っちゃおうか、と思案も楽しい。
でも梅雨の真っ只中で、気分は滅入る、風邪はひく。“あぁ、カラリとしたお天気になってよー”と厚い雲が恨めしい。農家は日照りでは困る時期だから、これは自分勝手なのです。

何もしたくない後ろ向きの日、どうします?
大人に辛くなる日があるのだから、小さな子どもにも心の塞ぐ日が。
きょうは、悩みを抱え、学校に行きたくない1年生のおんなの子のお話です。
《あたしきょう がっこうへいけないきがする》

行きたくないから頭が痛くなればいい、おなかが痛くなればいい。なのにお母さんは行くのが当然、と支度を促します。みほちゃんの恨めしそうな顔。
公園に遊びに行っちゃおうかな。でも、ますだくんはきっとこう言うでしょう、「せんせー、みほちゃんがずるやすみしまーす」。

このますだくん、なんと恐竜の姿をしています。
隣の席でいつもいじめるますだくんは、みほちゃんには恐竜のように怖い存在なのでしょうね。
あたしの机に線を引いて「ここからでたら ぶつぞ」というの。
あたし算数が苦手。指で足し算をしていると《せんせー、みほちゃんはてをつかってまーす》って。10たす11はどうするんだよって笑うの。

あたし給食のにんじんや鶏肉がきらい。残そうとすると「いけないんだー」って。
ところが、そんなますだくんと昨日ケンカをしてしまいます。大切な誕生日プレゼントの鉛筆を折られたから。初めてやりかえしたのでますだくんはびっくり。
《きょうがっこうへいったら あたしぶたれる》
いつもぶたれていたのと意味が違うからドキドキ。

正門の陰から「ごめんよ」と言ってますだくんがぶちますが、手にはテープで直したあの鉛筆が。
本当は、仲良くなりたいのに、いじめたり、いじわるしてしまう子っていましたよね。 版を重ねて人気のこのシリーズ、武田さんの想い出を綴ったのでしょうか。どれもちょっとホロ苦い絵本です。絵も、お話にピッタリのマンガのような、親しみ易さがあります。

「横浜市従」第1209号(2008年7月1日)より

Copyright (C) 2003 Yokohama City Labor Union. All rights reserved.