2014年11月1日(土曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第56山】日向山1660m「一反木綿から芸術鑑賞」

ご存知『ゲゲゲの鬼太郎』に「一反木綿」という妖怪が登場する。その名の如く、ひょろ長い三角形の白い布に目と手が付いていて、ひらひらと空を飛ぶ。鬼太郎の仲間だから善玉妖怪ということになるが、軽量そうながら重荷にも耐え、鬼太郎たちを乗せて活躍することもしばしばだ。

話変わって、中央線(中央高速道)の車窓で、長野・山梨の県境付近(小淵沢など)からは甲斐駒ヶ岳の圧倒的な展望が見事である。北アルプスの行き帰りなどに、一帯の山岳風景をいつも楽しみにしているのだが、ある時ふと気が付いた。

『一反木綿が飛んでいる!』

甲斐駒ヶ岳の前衛、黒々とした山並みの中に鮮やかな白い長三角形模様が浮かび上がっているではないか(写真)。三角形の末端は尻尾のように細くうねって伸び、ますますもって彼の妖怪を連想してしまう。距離的にも近いので、ちょっと注意していれば誰の目にも止まるはずである。

この一反木綿模様の上端が山の稜線に当たり、ピークを日向山と呼ぶ。なんともポジティブなネーミングだが、その名の通り秋から初冬にかけて絶好のハイキングスポットを提供してくれるのだ。

登山口から明るいカラマツ林の中を登っていく。稜線に上がるに至って急に視界が開ける。足元にはザクザクした花崗岩の砂礫が広がっている。実はこの砂礫の白さこそが一反木綿の正体なのである。白い地面は前方の斜面を下り山裾へと伸びていく。ちょうど一反木綿の尾ひれ(?)を構成しつつ、山の下方へ続いていくわけなのだ。

樹林が切れているだけに山頂からの眺めはすこぶる良い。とりわけ見事なのは正面の八ヶ岳だろう。四方へ存分に広がった優美な裾野が次第に収斂されていって、巍々たる峰々となって天空に結実する。この柔と剛の鮮やかなまでのコラボは、もう芸術品と言えるレベル。数ある八ヶ岳の展望ポイントの中でも、距離と高さからして、ここがナンバーワンだろう。

日向山からのパノラマは、遮る前山も無く前方がすとんと落ちているから、まるで上空から眺めている感覚が味わえる。そう、山頂にいるあなたは、一反木綿の背に跨り、遥か天空から至高の山岳芸術を鑑賞しているのである。

◆おすすめコース
中央線長坂駅(タクシー)日向山登山口-日向山(往復2時間:初級向け)

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中央線の車窓からの甲斐駒ヶ岳と日向山(矢印)(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎昭文社:山と高原地図41「北岳・甲斐駒」

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