2014年12月25日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第60山】太平山617m「無人島探検隊出動!」

八丈島の北西方沖合5㎞に浮かぶ巨鯨のような島影、それが八丈小島である。面積僅か3平方キロながら、かつては百名近い人が住んでいて小中学校まであった。だが、船便は週1回、荒れれば一月通わないこともあり、電気も水道もなく、病院はおろか医師も看護婦もいない。将来性を悲観して、全島決議で1969年に全島民が離島して無人島となった。

この小さな島は一つのピーク:太平山に引き絞られる。標高はランドマークタワー2個分以上。面積からすると異例の高さで、いかに急峻かがわかる。酔狂にも私が登頂を目論んだのは1998年3月のこと。なにせネット以前の時代、八丈本島で情報を仕入れ、漁船をチャーター。波浪にもまれ30分、ヘロヘロになって上陸すると出迎えたのは野生化した多数のヤギ。大概は大人しいが、一応角を持っているので刺激しないようにと聞いてはいた。

朽ちかけた住居跡を横目にジャングルを抜けると、背後に開ける海と島との鮮やかなコントラストに息を飲む。海面まで一気に400m以上も薙ぎ落ちた崖の縁など辿りつつ山頂へ。身体を一回転させるだけで文字通りの360度見渡す限り大海原の大パノラマ。洋上の名峰・利尻山でも、岩峰などが邪魔して一点から360度展望とはいかない。太平山の眺めは特筆ものだ。

下山もヤブで一苦労、迎えの船は来てくれるのだろうか、などと余計な気をもみつつ廃墟と化した集落跡をほっつき歩く。還りの船から振り返る太平山は、東西方向に45度を越す角度で切れ落ち「洋上のマッターホルン」と呼ぶに相応しい鋭姿であった。

さて例のヤギだが、その後は千頭以上に増えてしまう。反対運動もあったが、島の植生その他に悪影響を及ぼすと、10年ほど前に全頭駆除されてしまった。そしてつい最近、この島に貴重なクロアシアホウドリが生息していることが確認され話題に。ヤギが跋扈していては望めなかったわけで、あらためて自然保護の複雑さ・取り組みの気長さを考えさせてくれる。ただ今後、鳥の生息の成り行きによっては入島が規制され、こんなプチ探検もできなくなるかもしれないが。

◆おすすめコース
鳥打集落跡-太平山(往復5時間:上級向け)※夏はヤブが酷く不向き。冬場は海が荒れ島に渡れる日が少なくなる。

yamayama-60

洋上から望む八丈小島・太平山(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド ◎国土地理院2万5千分の1地形図「八丈小島」。

Copyright (C) 2003 Yokohama City Labor Union. All rights reserved.