2015年3月18日(水曜日)[ 見解・資料 ]

2015年度予算案について横浜市従の見解

安倍政権の成長戦略を先取りする「中期4カ年計画」にもとづき、大型開発はさらに拡大、大企業は優遇し、将来にわたる市民・職員負担増の予算

2015年2月27日
横浜市従業員労働組合

1月27日林市政6年目の予算案(2015年度予算案)が発表されました。
予算規模は、一般会計で5.4%増、純計(会計間のやり取りを除いた総計)で、0.5%増と5年連続のプラス予算となっています。昨年末決定した「中期4か年計画2014~2017」の取り組みを加速させるとして、「人」「企業」「都市」への投資を「積極的」に盛り込んだとしています。厳しい財政状況といいながら、今まで減らしてきた市債発行(借金)を増やして投資するという打ち出し方に違和感を持たざるを得ません。
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1.15年度予算の概要

15年度の予算編成は、引き続き待機児解消など子育て支援を第一に掲げ、子ども子育て新制度への対応もあり、微増となっています。小児医療費の助成は小学校3年まで拡大され若干前進しました。しかし、予算案のポイントとして掲げられている多くの項目は、まさに投資的な都市基盤整備としての大型箱物建設や、山下埠頭の再整備、新しいMICE(国際展示場・会議場・多くの市民が反対や疑問の声を上げているカジノ建設の調査費の継続)横浜駅大改造計画、高速道路建設など横浜をコンクリートの街に作り替えることが主なものになっています。

また、これまで横浜市は、「横浜方式のプライマリーバランス」を重視し、市債の新規発行を抑制しつつ返済を急ぐことによって、市債残高を減らしてきましたが、15年度予算案では、「計画的な市債活用」として「債務返済指数」という新たな考え方を示し市債発行14.9%増となっています。昨年も指摘しましたが、「いくらまで借金できるか」だけではなく、「何に使うための借金か」「市民にとって必要な借金か」の議論のほうがもっと必要ではないでしょうか。

公共事業などの「施設等整備費」が一般会計に占める割合は、16.8%(対前年度28.6%増)2360億円と膨大な増加となっています。林市政最初の予算(2010年度)では12.3%(1670億円)でしたから141%の伸び率です。また、大型公共事業の増加が顕著であり、国庫補助事業より、市の単独事業の比率が大きく、市長の方針が反映しているあらわれでもあります。国際コンテナ戦略港湾・横浜環状道路整備の2つの事業だけでも439億円(+82億円)や事業がすすめば大きな予算となる「エキサイトよこはま22」を含む横浜駅周辺のまちづくり事業・「新規ふ頭整備調査」など大型公共事業をさらに進めようとしています。財源の性格から公共事業を見直し、その予算をストレートに福祉・医療の充実の施策などにまわすことにはなりませんが、将来市民へ大きな負担となる事業は継続し進めています。横浜の予算で、オリンピックに間に合わせなければならない必要な事業がどれだけあるのでしょうか。計画の段階から十分に市民に説明すべきではないでしょうか。

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2. 市民の要求に応えた予算案になっているのか

横浜市民意識調査での市政への要望と予算案を見てみると、①地震などの災害対策 ②病院や救急医療など地域医療 ③防犯対策 ④バス・地下鉄などの便 ⑤通勤・通学・買い物道路や歩道の整備、がベスト5となっており⑥高齢者福祉⑦高齢者や障がい者が移動しやすい街づくりと続きます。市長が力を入れているはずの「保育など子育て支援や保護を要する児童への援助」が新たにベスト10に入っています。(15位→10位)。また、調査項目の「生活上の心配ごと困っていること」で今年もベスト3の項目は、①自分の病気や老後のこと(40.8%)。②家族の健康や生活上の問題(36.5%)。③景気や生活費(26.2%)となっており、仕事や職場のこと、子どもの保育や教育のことと続きます。毎年上位の要望や心配事である高齢者福祉・地域医療に対しての新たな施策は見当たりません。予算が横ばいか削減されているようにしか予算概要からは読み取れませんし、保育子育てへの要望・不安は増えています。

15年度予算案や「中期4か年計画」で力点を置く施策は市民要望42項目中「幹線道路や高速道路の整備」(29位→31位)「都心部の整備や魅力づくり」(37位→37位)「港湾機能と市民が親しめるミナトづくり」(38位→40位)「観光やコンベンションの振興」(42位→41位)と毎年下位を占めています。市民要求に応えた予算ではなく、自民党や安倍政権の要求に応えた予算といわざるを得ません。

3. 職員定数は、

子ども子育て新制度による149名の増員や法改正や政策的要素で、林市政初の3名の増員となっていますが、民営化・委託化の推進や業務の集約化による減員は、140人の削減としています。
業務量の増加や新規事業の人員は民間委託や、嘱託職員の増員による対応が多くを占めています。減員は業務減によるものではなく、保育所の民間移管2園、学校給食の民間委託8校、障がい児施設(なしの木学園)の民営化、卸売市場の集約化など、業務の担い手を、非正規の嘱託職員や業務委託による不安定雇用の民間労働者に置き換えることや市民サービスの低下につながりかねない業務の集約化ですすめられています。嘱託化や民営化・民間委託化は「官製ワーキングプア」を生み出し、本来自治体がなすべき公的責任を放棄し、わずかな経費削減と引き換えに業務蓄積や業務継承ができない職場をつくり、安定した雇用対策にも逆行するものです。

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4. 厳しい財政状況をまくらことばに、

毎年大幅な事業見直しによる縮減をおこない、業務委託や民間化、嘱託職員の導入による大幅な職員定数の削減と、受益者負担の適正化として公共料金の値上げ等、住民負担増を行なってきました。次年度に向けては、102億円の削減となっています。各種助成金・補助金・委託料の削減等が職員や住民の地域活動にどのような影響を及ぼすのか不透明な部分もあります。

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5. 直接的に市民要望に応える予算の強化こそ経済活性化・市民の命と暮らしを守ることに

高齢者の比率が増えていく状況で特別養護老人ホーム(緊急性の高い申込者が1年以内に入所可能という目標でいいのか疑問)・ゼロ予算の市営住宅などの建設も公共事業ですし、幹線道路の整備(要望31位)よりも通勤・通学・買い物道路や歩道の整備(要望5位)へ予算配分すべきではないでしょうか。予算の少ない地元中小業者に発注する公共事業を増やしていくことこそ、「市民の皆様の生活の安心確保と市内経済の活性化」につながるはずです。また、大もうけしている大企業を誘致するために30億円もの税収を減免するよりブラック企業をなくし、地元企業による正規雇用の確保や、労働者の賃金を保証しワーキングプアをなくすための施策や、「公契約条例の制定」が必要ではないでしょうか。

予算案の発表に際しては、毎年行っている「市民意識調査」の市民からの要望・市民生活上の不安の解消に対してどのような施策を取ったか、また市債を発行して行う大型公共事業については将来の横浜にどのような経済効果をもたらすのか、もっと具体的に説明すべきものと考えます。実際に政策的に使える予算が減少している中で、強調された施策の影で、市民生活に大きく影響を及ぼす予算の削減が行われていないのか更なる検証が必要となります。各職場から局別の予算を精査・研究していくことが必要です。

また、4月の市議会議員選挙を控え、2015予算案に対して市民の代表であるべき議員がどのような態度を取るのか注目していく必要があります。

横浜市従は、引き続き「横浜市で働いてよかった」「横浜市で暮らしてよかった」と思える予算編成を求めて奮闘していきます。

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