2008年7月15日(火曜日)[ 絵本ひらいてみませんか ]

第51回「きりのなかのはりねずみ」

ehon-51 作・ノルシュテインとコズロフ
絵・ヤールブソワ
訳・児島 宏子
福音館書店


毎年のようにどこかで見ていた蛍、今年は会う機会がありません。なんだか決まりの着かない気持ちのまま、時期が終わりそう。
みなさんはご覧になりましたか?
子どもの頃清流だった小川も、開発で大きく、そして汚れてしまいました。とても残念です。

自宅の眼下に、戦後63年経って返還された米軍基地が広がっています。山や林、草原の跡地についてアイディアを募っていましたので、私は、鎖から放たれて自由に走り回れる「ドッグラン」がいい、と書きました。

折角の自然を人工的な物で壊したくないからですが、「蛍の棲める小川を」という願いを忘れてしまいました。果たして、どのようなプランが採用されるのでしょうか。小さな動物たちがどこかに引っ越さなくて済むようにしてほしいのですが…。
さて、きょうは健気で少々のんびり屋なはりねずみのお話です。

《ひが しずんで、あたりが うすぐらくなってきました。はりねずみは、こぐまのいえに でかけます》
ふたりでお茶を飲みながら、星を数えるのが目的。
仲良しのこぐまのことを考えながら、てくてく歩くはりねずみ。
出発は夜で、しかもロシアの森の中が舞台です。当然うす暗い。しかもこの夜は霧も出ていたのですから、私なら尻込みしてしまいます、きっと。
小枝を杖に、先に留まった蛍に闇を照らしてもらってノロノロ進みます。
葉っぱが落ちてきただけで跳びあがるほど、先の見えない不安でいっぱいの中、ボーッと白い馬が浮かびます。
(霧に)溺れないかしら、と心配するのですが、足を滑らせ、自分が川に落ちてしまいます。
こぐまくんが待っているだろうなぁ、とボンヤリ考えながら流されて…。

この絵本は、アニメーションから生まれたそうです。それを以前BS放送の「世界のアニメ」で観ました。ドキドキしたり首を傾げたり、のはりねずみのいじらしかったこと。

絵のたしかさが、幻想的な闇を伝えています。
ふたり並んで星を眺めている後ろ姿で終わります。
《しろうまさんは、きりのなかで どうしているかな》
と、幸せを噛みしめながらもはりねずみは思うのです。

「横浜市従」第1210号(2008年7月15日)より

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