2015年4月1日(水曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第65山】金時山1213m「箱根からの独立論」

箱根火山の外輪山の一角を占め、箱根ハイキングでは一番の人気を誇る。交通の便の良さ、日帰りに手頃な登り応え、そして山頂からは富士山を始めとする大パノラマが待っている。だが、山頂の目前でこの山は俄然急になってハイカーに立ちはだかる。近傍から見ると実に急峻で、その形から猪鼻ヶ岳なる別称も知られる。一癖ありげな風情は、この山の個性を物語っているかのようだ。

山名の由来は御存じ金太郎だ。山頂には大きなマサカリのレプリカがあって記念撮影に欠かせない小道具になっているし、傍らに建つ金時茶屋では腹掛けなどの金太郎グッズを売っている。その金太郎が長じて、源頼光の四天王と称される坂田金時となった。ニッポンでは人名由来の山は珍しく、さらに実在の人物となるとごく限られる。代表的な有名人クラスとなると皆無で、信長山も家康山も存在しない。坂田金時は相当の歴史通でないと具体的生涯までは思い浮かびそうにないが、山名になった人物の中では、おそらく最も知られた存在ではないか。

地質学的にも一悶着あった山だ。かつては箱根の寄生火山とされていた。マグマの噴出する火道が、箱根火山の中枢部から枝分かれして金時山が出来上がったとの学説である。それにしても「寄生」という呼称はあんまりではないか。寄生虫のごとく取り付いて養分を吸い上げているわけではなく、本火山から分かれた兄弟分の様な存在だ。それが「寄生火山=金時山」では当の山の立つ瀬がない。だが、近年の研究で金時山の火道は本山からは独立しており、箱根とは兄弟ではなくアカの他人のような存在とみなされるようになった。そこで不名誉極まる寄生火山の称号ともオサラバできたのである。

人名を戴くと言う名前の独自性、そして地質学的にも自立した山。金時山は様々な個性に満ち溢れている。さらには、遠方から眺めると独立の気概が漂う。横浜周辺から見ても箱根の幹部連から少し離れて、堂々としたピラミッド型で存在感を誇示している。「箱根の金時山」ではなく、ズバリ一丁前の「オンリー金時山」として捉えてみた方が、ハイキングの達成感も上がろうと言うものだ。

◆おすすめコース
湯元駅(バス、本数寡少)乙女口-乙女峠-金時山-矢倉沢峠-仙石(3時間半:初級向け)※余裕があれば明神ヶ岳と結ぶと良い。

yamayama-1402

猪の鼻を彷彿とさせる金時山(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図29「箱根」

Copyright (C) 2003 Yokohama City Labor Union. All rights reserved.