2015年7月9日(木曜日)[ 見解・資料 ]

「命どぅ宝(命こそ宝)」戦争は日本国憲法が保障する基本的人権を蹂躙し、個人の尊厳が守られる社会を実現しない

5月15日、安全保障関連法案が国会に提出されました。同法案は集団的自衛権の行使を容認している点で憲法違反です。長年違憲としてきた集団的自衛権を政権の解釈で変更することは、権力を縛るという意味での憲法の機能をないがしろにし、立憲主義に反しています。また、多くの国民は今国会での法案成立を望んでいません。会期延長を強行し、米国に約束した夏までの法案成立になりふりかまわず突き進む安倍政権は国民主権を破壊しています。

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戦争は平和を掲げてやってくる

法案は「平和安全法制」というごまかしの看板を掲げていますが、本質は戦争法です。すなわち、新たに改定された日米防衛協力指針(ガイドライン)の具体化であり、米国の戦争に「切れ目なく」参加するための法整備です。平時から有事、さらにはイラク戦争のような先制攻撃まで「切れ目なく」米軍を支援することが目的です。私たちはいったい何度「平和」という名の下に戦争を行ってきたのでしょうか?極東の平和のための日露戦争、東洋平和のための日中戦争、東亜永遠の平和の確立のためのアジア太平洋戦争。平和のための戦争ばかりです。戦争は平和を掲げてやってくるのです。

国民主権に反する

この間、民主党、社民党、共産党などの野党の追及に安倍政権は満足な答弁が出来ない状態が続いています。何としてでも夏までに戦争法案を成立させたい安倍政権は大幅な会期延長を決めました。通常国会の会期は150日間とされ、国会法に基づき1回だけ延長が認められています。今回の95日間の延長幅は戦後最長であり、戦争法案を何が何でも今国会で押し通そうとする安倍政権の強硬姿勢の表れです。そもそも会期制というのは多数党の横暴を抑制し、少数意見を保護するために設けられたものです。会期が終了しても審議が尽くされないのなら、法案をいったん廃案にして、出直すのが当たり前です。共同通信社の世論調査でも戦争法案に対して安倍政権が「十分に説明しているとは思わない」は84.0%、「十分に説明していると思う」13.2%となっています。多数の国民は戦争法案に納得していません。国民に十分に説明できない法案は廃案にするべきです。会期の大幅な延長はは議会制民主主義のルールを踏みにじるものです。

米国との約束を最優先

そもそも「夏までに」という期限は安倍首相が4月29日に米連邦議会で行った演説で「(戦争法案を)この夏までに成就させます」と約束したことが発端です。国会に提出する前であるにもかかわらず、日本の議会を無視して米国の議会で宣言してきたのです。本末転倒です。沖縄の辺野古新基地建設において沖縄県民の意思を無視した態度と同じく米国べったりの政権です。

憲法違反の戦争法案

ところで、自衛隊が世界中の戦争に参加できるようにする戦争法案は違憲です。集団的自衛権の行使を伴う法案は憲法上認められません。集団的自衛権とは米国を助けに海外へ戦争に行くことであり、憲法9条は海外での軍事活動を認めていないからです。ちなみに昨年7月7日に削除されるまで、防衛省のホームページには集団的自衛権は違憲であると明言されていました。「集団的自衛権の行使は、これ(憲法9条の下において許容されている自衛権の行使=編集部注)を超えるものであって、憲法上許されないと考えています」(削除されたホームページから)。長年政府は「日本国憲法下において集団的自衛権は行使できない」とする見解を維持してきました。解釈変更というやり方は立憲主義の否定です。ちなみに、集団的自衛権の根拠として政府があげている砂川裁判で問われたのは在日米軍基地の合憲性です。日本の集団的自衛権が問われていたわけではありません。全く話になりません。

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専門家の意見も無視、国民の声も無視

当然のことながら、230人を超える憲法学者、日本弁護士連合会が集団的自衛権の行使を伴う戦争法案は違憲であるとしています。衆議院憲法審査会では、参考人質疑に招かれた与党推薦の参考人を含む3人の憲法学者全員が、他国を武力で守る集団的自衛権を行使できるようにする戦争法案は憲法違反だと明言しました。また、東京新聞の取材に答えた歴代内閣法制局長官5人のうち、4人が違憲とし、1人は一般論としては違憲であるが、現状では政府の説明が不十分であり、判断できないとしています。集団的自衛権の行使が違憲であり、戦争法案が違憲であることに疑問の余地はありません。「現在の憲法をいかにこの法案(戦争法案)に適応させていけばいいのか、という議論を踏まえて閣議決定を行った」とする中谷防衛大臣の発言は後日修正されましたが、政権の本音でしょう。

まともな答弁なし

戦争法案に関する政府の説明は憲法違反であることに加え、定義や論理が支離滅裂です。軍事の常識を無視した国際的に通用しない言葉のオンパレードです。「武力行使と一体でない後方支援は武力の行使にあたらない」「後方支援」→兵站(へいたん)と呼ばれ、戦争行為の一部であり、武力行使と不可分の活動。「武器の使用はするが武力の行使にはあたらない」→攻撃されたときに自分を守るための武器の使用そのものが国際法上は武力行使そのものであり、外務省も認めています。いずれにしても安倍政権が使う概念は国際的には存在しません。

憲法擁護の宣誓をした自治体労働者の責務

横浜市従は憲法擁護を宣誓した自治体労働者の組合として憲法違反の戦争法案に反対の立場です。個の尊厳を踏みにじり、住民福祉の向上という私たちの仕事に真っ向から対立する戦争を業務とすることを認めるわけにはいきません。二度と赤紙を配らないためにも、職場の草の根から戦争法案に反対していきましょう。権力は私たちの弱さ、団結のほころびにそっと忍び寄ります。気がついたら戦争とならないためにも横浜市従の仲間になって、憲法が活きる自治体と住民に喜ばれる仕事を作りましょう。


憲法9条

(戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認)
日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない

憲法99条

(憲法尊重用語の義務)
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し、擁護する義務を負ふ

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