2015年9月24日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第74山】荒沢岳 1969m「ワンデイハイク上限の山」

ワンデイ(日帰り)ハイキングと言えば、お手軽登山の代名詞のように聞こえるだろう。軽装で済み、1日で完結するから気分的にも労力的にも楽。だが一口にワンデイハイクと称してもピンキリで、鼻歌交じりで気楽に歩けるものから、体力の限界に挑むような極限的なものまで様々だ。そんな日帰りコースの中でも横綱格なのが、越後は奥只見の雄・荒沢岳なのである。

山頂までの標高差が大きく、行程は長く、なにより中途でコースが剣呑になり鎖場続きとなる。もちろん泊まりならもっと大変な山は幾らでもあるが、通常は日帰り対象とされている山の中では、最難関クラスと言えるだろう。奥深い山域に位置するがアプローチは意外にも良く、上越新幹線の浦佐駅から車で1時間足らずで登山口のある銀山平に着くから、手軽に秘境に踏み込めると言う点でも異色の山だ。

登り始めは豊かなブナ林の中に穏やかなルートが続く。それが突然、壁にぶち当たったかのように鎖と梯子が連続するコースに変貌する。相当数をこなした後で、不意に前方の展望が開け愕然とする。とてつもなく巨大で、進める筈もなさそうな岩峰群・前嵓が立ち塞がっているからだ。が、ルートは稜線を避け、岩峰の下方にへばりつくようなトラバース(横断)道となる。よくもこんな所に登山道を造ったものだと感心する他はない。当然ながら鎖と岩のミックス、さほどの高度感はないが手足の掛け具合では剱岳のルートなどよりも手ごわい。

ようやく前嵓を越すと、山頂までは通常ルートになる。主稜線に出ると南側の山々が一斉に名乗りを上げてくる。人も少ない山頂はぐるり360度、山また山の大パノラマ。近くに越後三山、遠くに日光・尾瀬・谷川の山々。とにかく見えるのは山ばかり、ここまで山オンリーの展望に特化したピークも珍しい。ワンデイハイクの限界に挑んだご褒美と言うわけだ。

通常、岩場ルートは下りの方が難しいが、今回は登って来た道なので意外にスムーズに降りられるはず。下り着いて見上げるギザギザの稜線は遥かに高く、「越後穂高」なる異名もむべなるかなである。上限のワンデイハイクを終えた充実感は格別のものだろう。

◆おすすめコース
荒沢岳登山口―荒沢岳(往復8時間:中級向け)※山麓には宿泊施設やキャンプ場が多いので、前泊して早朝スタートで往復するのがベスト。

1417-yamayama

中腹から見上げる荒沢岳(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図15「越後三山」

Copyright (C) 2003 Yokohama City Labor Union. All rights reserved.