2015年10月26日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第76山】中央アルプス「“中央”の呪縛」

北アルプス、中央アルプス、南アルプス。ニッポンの3大アルプスである。山にさほど親しまない人に「どのアルプスが最も立派だと思いますか?」と尋ねたら「そりゃ、中央でしょう」との答が多いに違いない。たしかに「中央」の冠詞は如何にも偉そうだ。だが実態は、巨大な南北の両アルプスに比べると、いかにも小さいのである。

では比べてみよう。まず全長が短い。南北アルプスの100㎞以上に対し、中央の主要部分は30㎞ほど。何本かの主脈が並走する南北に対し、中央は1本のみで奥深さがない。3000m峰はひとつもなく、栄光の日本百名山も北の14峰、南の10峰に対し、木曽駒ヶ岳と空木岳の2峰のみ。

むろん登山対象としては一級品だ。核心部の千畳敷カールには、我が国最長のロープウェーが伸び比較的手軽に最高峰の木曽駒ケ岳に登頂できるし、通年運行だから冬場に雪の稜線も堪能できる。前山がない分、展望がすっきりしていて、主脈の縦走路からは常に伊那盆地と背後の南アルプスが雄大に望める、など。

にもかかわらず、どうにも影が薄い。アルプス以外の他の山、八ヶ岳や東北の飯豊連峰あたりと比べても岳人の関心はいまいちでは?これはどうも「中央」の肩書が邪魔をしているような気がするのである。偉そうな「中央」でありながら、他に水をあけられた不甲斐なさ、そうした落差が岳人意識に反応してなんとなく格下に見られているのではないか。

そもそもアルプスの名は明治期に来日していた西欧人が飛騨山地に名付けたことが発端だ。やがて赤石山地もアルプスに加えて南北の区別をするようになり、ついでに(?)双方の間に位置する木曽山地も中央アルプスと命名した。中央というより中間といったニュアンスのような。

ならばその肩書きを外すことだ。「アルプスの末席」であるよりは「アルプス以外の筆頭」に位置づけた方が、岳人のウケは良くなるはず。例えば古来の名称である「木曽山地」を前面に出せば、両アルプスの狭間で渋い存在感を発揮しているようで格好いい。中央なる呪縛から解き放つことで、真の価値が見えてくる。なんと言っても一流の山脈には違いないのだから。

◆おすすめコース
千畳敷-木曽駒ケ岳(往復3時間:初級向け)※縦走コースは小屋が少なく、結構きびしい。

1420-1

南アルプスから見る中央アルプス(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図40「木曽駒・空木岳」

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