2015年11月4日(水曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第77山】野口五郎岳2924m・黒部五郎岳2840m「ふたつの五郎」

北アルプスに五郎と名の付く山が二つある。野口五郎岳と黒部五郎岳。人名に因んだものではなく、岩のゴロゴロした場所を「ゴーロ」と呼び、そんなゴロ岩の多い山を「五郎岳」と名付た。同名が近隣に二峰あるので、一方は麓の集落名を付けて野口五郎岳、他方は地域名を付けて黒部五郎岳と区別したわけだ。

登山者に人気のあるのは黒部五郎岳だ。堂々の日本百名山、山頂から巨大なカール(氷河によって、スプーンで丸くえぐったように削られた地形)が口を開ける。通常のカールは山肌の一部に付いてアクセントになっているのだが、ここでは山に比べて圧倒的に大きい。カールに山がくっついている、そんな雰囲気なのである。山頂から見下ろすカールも雄大だが、カールの谷底は巨岩の配された豪快な庭園調で、水が流れ背後の崖が借景となって独特の景観を見せている。

野口五郎岳は標高2900m級、北アルプスでも上位にランクされるのだが、人気はいまいち。大きな山なのだが個性がない、悪く言えば不格好なのである。白っぽい山体に緑色の染みが点々、光線の角度にもよるがカビの生えたパンのよう(例えは悪いが)。この山だけを目標として山登りをする人はまずおらず、高さの割には不遇と言っていい。ただし山頂直下に山小屋があり、ピークからの展望も申し分なく、いい山には違いない。

世間一般では「野口」の方が圧倒的に有名だろう。昭和50年代頃、歌謡界新御三家の一人として数々のヒットを飛ばした野口五郎その人である。実はこの芸名、野口五郎岳に因んで付けたと言う。さらには「黒部五郎」も候補で、標高の高い方を採用したらしいから何をか言わんやである。登山者目線での人気など一顧だにされなかったようだ。

確かに、野口五郎よりも黒部五郎の方がお固く厳めしいイメージだから、アイドル歌手には相応しくなさそうだが、そもそも彼は演歌でデビューしている。それで黒部姓も候補だったのだろう。もしも黒部五郎を採用していたら、彼、および両山の運命は違ったものになっていたのか?などと、どうでもいいような事を考えてしまうのである。

◆おすすめコース
高瀬ダム-烏帽子小屋-野口五郎岳-双六池-新穂高温泉、折立-太郎兵衛平-黒部五郎岳-以下同じ(何れも3日~4日行程:中級向け)

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ちょっと扁平な野口五郎岳(上の画像をクリックすると大きく表示します)

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すっきり締まる黒部五郎岳(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図36「剱・立山」

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