2015年11月16日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第78山】権現岳 2,715m「不遇? 実は穴場山」

標高は一級品、山姿はイケメン、山頂からの展望も申し分なし。誰がどう見ても、押しも押されもせぬ名峰でありながら、なぜか存在感が弱い山がままある。八ヶ岳連峰の南部に位置する権現岳もそんな山のひとつと言えるだろう。

八ヶ岳は主峰・赤岳以下、20余りの峰々が連なっていて、権現岳の標高は№5。名称からも想像がつくが平安時代から修験の山の目標として尊崇を集めてきた。山頂部は、天を突く最高地点の岩峰と、隣接するギボシ(擬宝珠)の二峰から成る。少し距離を置いてみれば、雄渾な山裾が巍々とした双耳の峰に引き絞られ、堂々とした千両役者の風格を備えている(写真)。

最も特筆すべきは展望の見事さだ。赤岳・阿弥陀岳など八ヶ岳の主峰群が縦構図で居並ぶ勇姿に圧倒される。なぜ赤岳なる名前が付いたのかがよく理解できるのもここからならでは。さらに頭を巡らせば、奥秩父・南アルプス・中央アルプス・御嶽・北アルプスそして富士山。平野や盆地のバックにすっきりと山々が見えているのは、裾野を引いて前山がない八ヶ岳からの展望なるが故だ。しかも山頂直下に昔ながらのランプの宿・権現小屋があって、これほどのパノラマを居ながらに眺められる。ことに山岳展望の大イベントである、日没と御来光の鑑賞が楽勝なのは嬉しい限りだ。

これほどの名峰であるのに、登山者の人気はいまいち。八ヶ岳の一番人気は赤岳に集中するが、権現岳は南隣に位置するとは言え、キレット(稜線上で大きく切れ込んだ険しい地形)に隔てられ容易には縦走できない。では権現岳一帯の山々だけを登れば良いかと言うと、他にさほどスターがいないため、ここだけでは目標になりにくい。もし何処か他の山域にあれば、さぞもてはやされたことだろうが、なまじ八ヶ岳一家に括られているため、主役にはなれず脇役に甘んじている格好なのである。

ともあれ実力の割には不遇と言えば不遇。ただ、見方を代えれば穴場ということだ。山のオンシーズンでも比較的静かな山歩きを楽しむことができる。天候さえ良ければ、登ってみて期待を大いに上回ることを保証しよう。

◆おすすめコース
天女山-三ツ頭-権現岳(泊)-編笠山-観音平(8時間:初級向け)※さらなる登り応えを求める向きには、キレットを下り赤岳へ縦走することを勧めたい。

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赤岳方面からの権現岳、さすがの風格(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図32「八ヶ岳・蓼科」

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