2016年3月8日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第84山】高尾山100m「相対的に格上な隠れ名山」

高尾山、と言ってもかの有名な東京郊外の人気峰ではない。これまでの連載の中で、そしてこれからを含めても、最も山らしくない山である。緑区の外れで町田市沿い、東名横浜町田インターのすぐ近くと言えば見当が付けやすいだろう。山頂には飯綱神社が建つ。標高100mとはキリがいいが、山麓の周囲からして80m超の標高だから、見かけ上の高さは20m以下でしかない。そんな「山」の魅力とはいったい……?

最寄りは町田市側のすずかけ台駅。が、駅前から山なぞ何処にも見えず。地図で検討を付けて歩いていくが、「果たして山などあるのだろうか」と不安が募るばかり。やがて左手に畑が広がる。何気に見ると、後方がやや高くなっていて森がみえる。その手前に小さな社が……「あ、ひょっとしてあれが高尾山?」

たとえ比高が10mでも、きっちりと盛り上がっていれば少しは山らしく見えるもの。ところがこの高尾山ときたら、畑が緩いスロープになっていて僅かに高みがあるのみ。山どころか丘にすら見えない。しかもすぐ背後に東京工業大学などの高層ビルが並んでいて余計にわかりにくい。

もやもや感のまま神社前まで登り着いた瞬間に印象は一変する。広やかな平野の果てに雄大な丹沢山地、背後には富士山。前面が遮る物のない畑で、傾斜がごく緩やかなせいもあって、実に伸びやかで広濶なパノラマが広がっているのである。背後のビル群はどうしようもないが、心の映像で視界から取り去ってしまうと、やはり雄大な景観が広がってくるに違いない。

また山頂にある三角点(測量の基準となるポイント)は、県内に6個しかない最高ランクの一等点なのである。明治以来の三角測量は視認が基本だから、いかにここが相模平野の中でも眺めの良い地点であったかの証左と言える。

つまりはこの高尾山は、絶対的高度は取るに足らずとも、一帯での重要性では抜きん出ているわけだ。その相対的な格上さゆえに、古の人は山頂に神社を建て、明治の測量官はここを測量の大基準点とし、近年には長津田十景の「高尾暮雪」にも選ばれている。見た目の山らしからぬ姿とは裏腹に、様々な粋を秘めた隠れ名山なのである。

◆おすすめコース
すずかけ台駅-山頂(往復40分:初級向け)※さすがにここ単独だけでは歩き足りないから、何かのついで、あるいは長津田十景を訪ね歩いてみると良い。

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山頂神社への緩いスロープ(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎緑区のウェブサイトから「長津田歴史探訪マップ」で検索

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