2016年4月22日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第87山】蛭ヶ岳1673m、丹沢山1567m「丹沢の主峰争い」

神奈川の屋根とも言うべき丹沢山地。標高1600mクラスの中級山岳ながら広大で、尾根筋は屈曲に富み網目のように沢を巡らせる。通常は〇〇山地と定義する場合、その山地の盟主とも言うべき主峰が存在する。丹沢にはそのものズバリ「丹沢山」があり、概ね主峰とされている。

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冬の丹沢山(上の画像をクリックすると大きく表示します)

ところがこの丹沢山は、主峰たるべくして主峰になったわけではない。三郡の境に当たるので、元は三境の峰と称されていたのだが、明治期の地図作成のための測量で、たまたまこの山に大基準点である一等三角点が設置された。三角点には命名が必要で、測量官に三境の認識がなかったのか、近隣のエリアで呼ばれていた「丹沢」の名を持ってきた。それがきっかけで、やがて山域全体を丹沢山地と呼ぶようになったのだ。

実際のところの丹沢山は、山容は大きいがもっさり系。山頂はかなり広いが取りとめがなく、展望も断片的に得られるのみ。「これで主峰なの?」と物足りなく感じる人がいてもいい。実は丹沢にはもう1山、主峰たる資格のある山が存在する。それが県最高峰の蛭ヶ岳である。

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冬の蛭ヶ岳(上の画像をクリックすると大きく表示します)

蛭ヶ岳……山の嫌われ害虫№1であるヒルそのものが名前なのだから恐れいる。だが何となくモヤモヤしていた丹沢山とは対照的に、いろんな面ですっきりしている。まず山姿がいい。大きく急峻な山体が、鋭鋒となって天を突く。標高トップだけあって山頂からのパノラマも素晴らしい。名峰の資格は十分だ。

筆者自身は蛭ヶ岳こそ主峰だと思っているし、同じ考えの人は少なくない。蛭ヶ岳派と丹沢山派で論争があってもいい。そんなどちらが主峰かなど何の実益も妙味もない、なんて思うなかれ。丹沢は山全体として日本百名山に選定されている。通常は主峰登頂を以って、その山ゲットと見做されるから、百名山踏破を目指すような人にとっては、丹沢のどこが主峰なのかは死活問題なのである。

まあ誰からも丹沢登頂を認めてもらいたいのなら双方を登っておくことだ。山小屋に泊まれば問題なく両山ゲットできるし、なにより主峰候補が2つもあるという、丹沢事情の複雑さをよく理解できようから。

◆おすすめコース
焼山登山口-蛭ヶ岳(泊)-丹沢山-塔ノ岳-大倉(11時間:中級向け)※逆回りでも良いが下山後のバス便が少ない。

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図28「丹沢」

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