2016年6月7日(火曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第90山】御池岳1247m、藤原岳1140m「鈴鹿の山々②」

鈴鹿山脈の中南部が花崗岩で構成されているのに対し、北部の山々は石灰岩で覆われ、全く異質の山エリアに居る感覚に浸れる。そんな北部を代表する山が藤原岳だ。我が国の石灰岩質の山の宿命で、東面は秩父の武甲山同様に採掘が進み無残な姿を晒している。が、山全体から見れば一部なので、歩行時に開発の痕跡をとことん見せつけられることがないのは幸いだ。

石灰岩の山の特徴なのか、麓からの立ち上がりは急峻であるのに、山頂部は鉈で水平に切り払ったかのように、緩やかな地形が伸び伸びと広がっている。その上に地学の授業でお馴染みのカルスト地形が展開し、カレンフェルト(羊の背の様に地上に付きだした石灰岩)やドリーネ(石灰岩地形の窪み)が随所に配される。

山中を歩いていても、地面からニョキニョキ生えたような石灰岩の突出しをあちこちで目にする。中南部の花崗岩帯では巨石が積み重なってオブジェを構成しているのに対し、こちら石灰岩は一抱えほどの一つひとつが、角を出したり瘤が群生したりとアートになって、前衛作品の並ぶ屋外美術館の様だ。花の種類が多いことでも有名で、岩質に加え、南北に連なる日本列島の狭隘部に位置することから、気候変動で様々な植物がこの山域を通過していくことが要因とされる。

藤原岳から遠くない位置に、鈴鹿の最高峰・御池岳が鎮座する。スタイルは藤原岳同様だが、よりスケールが大きい。山上台地は緩いスタジアムの様で、その果ては急崖をなして展望台を提供してくれる。カルスト地形もより顕著で規模も大きく、窪みの数も多い。そして前号でも述べた登山文化の違いが顕著に表れているのが実はここなのだ。

昼時ともなると、ハイカーが集団で窪みの底に群れるのである。最初は何事かと思ったが、要は休憩好適地と言うこと。穴底は風も弱くのんびり寛ぐにはもってこい。関東のハイカーからすれば「自然破壊ではないか」と非難の目で見そうだが、荒らされた様子もなく、中京や関西圏の人情の大らかさ故なのかも。ともあれこんな素敵で多彩な山々に、手軽にそして心豊かに登れる当地のハイカーを羨ましく思うのである。

◆おすすめコース
鞍掛峠―御池岳―白船峠―藤原岳―西藤原駅(6時間半:初級向け)※夏季は鈴鹿中南部以上にヒルが多いのが難。

1441-2

藤原岳(中央)と山上のカルスト地形(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図44「御在所・霊仙・伊吹」

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