2016年6月20日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第91山】高野山町石道「霊場へのカウントダウン」

弘法大師が開いた山上の一大霊場・高野山。もちろん高野山なる特定の山があるわけではなく、数多くの寺院や行政単位としての高野町、大学などが一体となって宗教世界を構成している。現代に参詣する人の大半は電車・ケーブルカー・バスを乗り継いでいくわけだが、昔ながらの参道もちゃんと存在する。

その名は町石道。起点となる九度山の慈尊院から180基に及ぶ高さ2m余の町石(石塔)が一町(約110m)毎に、百八十から一まで降順に立ち並ぶ。歩程で2分置き位に次々と現れ、歩いたご褒美にカウントダウンとなっている。大半は鎌倉時代に設置されたもので、漢数字表記なのだが崩し書体で些か読みにくい。一方で江戸時代に再建された石塔は、書体が今風で読みやすいのには時代の流れを感じて興味深い。

さらには、すべてが同じように立っているのではなく、高所にあったり藪の中であったり、時には見落とすこともあり、石塔探しに夢中になれるのだ。これで単調な道中がまぎれ、疲れも些か感じないようになる。こんな工夫を思い付いた先人の知恵に感心してしまう。

ルート環境はスギの美林が主体だが、自然林に癒されたり、里やゴルフ場・茶屋に出たりと、なかなか変化に富む。かくして8時間近くに及ぶ苦行(?)の果てに、ようやく高野山の一角に辿り着く。まず目に飛び込んでくるのが巨大極まる大門。この門を見た瞬間の感動、これだけでも遥々歩いてきた価値があったと心底思う。町石はなおも続き中核にある壇上伽藍で「第一町」を見て終了。

せっかく真言密教に適うスタイルで登ってきたのである。山上寺院の宿坊に泊まって、正真正銘の精進料理(酒は飲めます)や1時間に及ぶ朝の勤行に参加して宗教体験にどっぷり浸ると良い。実は町石も終わりではない。壇上伽藍から新たに昇順に付番され弘法大師御廟まで続くので、翌日は是非探訪を。

下山は一般大衆コースでいいだろう。文明の利器を乗り継いで、2時間ほどで大阪ミナミの核心部である「なんば」に戻れる。苦行の果てに俗界から霊場へと至った往路の真逆感を味わうのも、得難い体験だと思うのである。

◆おすすめコース
九度山駅-慈尊院-高野山(8時間、累計登り標高差900m:中級向け)※夜行バスで大阪まで行くか、現地で前泊する必要がある。

1443-1

「第六十七町」を示す町石(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎「高野山町石道」でネット検索して南海電鉄のWEBSITEからコースマップをダウンロード

Copyright (C) 2003 Yokohama City Labor Union. All rights reserved.