2016年7月15日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第93山】飯豊山 2,128m「みちのくアルプス」

山登りを始めて経験を積み、北アルプスや南アルプスを何度か登ってエッセンスを体験した人なら、「他にアルプスらしい登山のできる山は?」と考えるのが自然なところ。

北海道の日高山脈なら、ある意味で南北アルプス以上のスケールがあるが、技術・体力的にハードルが高い。中級レベルに突入した岳人の望みを叶えてくれる代表格と言えば、福島・山形・新潟の3県に跨る飯豊連峰だろう。

陸奥の名峰と言えば大概は火山なのだが、飯豊連峰は非火山性の雄大な山脈を成している。標高が2000mクラスながら稜線付近は樹林が成立しておらず、お花畑や雪田などが広がり、アルプスの3000m級を彷彿とさせる景観が広がる。

これは偽高山帯と呼ばれ、多過ぎるほどの積雪や強風など様々な要因がもたらしているらしいが、学説的に決定的な結論を見ていないようだ。

いずれにせよ「日本アルプス以外で最もアルプスらしい山」と言う視覚・感覚的なものなら、飯豊に勝る山地は無いだろう。主要部を踏破するには4日程を要するから、この点もアルプスチックではないか。

また、飯豊の大きさ、懐の深さを語るのなら、山を代表する盟主が2峰あることが挙げられよう。ひとつは名前からしてズバリの飯豊本山、もうひとつが連峰の最高峰である大日岳だ。

本山は古来信仰の対象となっていただけに、山頂には神社が建ち山小屋もあって、奥深い割には人間臭い。一方の大日岳はより深遠な大自然境の只中にあり、孤高の趣がある。

どちらを以って飯豊の代表と看做すのかは、各人の解釈や好みに拠るほかない。が、やはり「本山」の名の重み故か、登頂者は本山の方がかなり多そうで、大日岳は本山を踏破してさらに余裕のある人に限られるようだ。

ただ前述した通り両山の雰囲気は全く別物である。スタイルも、ゆったりどっしりした本山に対し、シャープですっきりした印象の大日岳と、山の味わいを二様に楽しめる。せっかく遠方まで足を延ばす以上は、両山を登頂してどちらが飯豊の盟主に相応しいか考えてみたい。

それでこそ、みちのくアルプスを語る資格ができ、一人前の中級岳人になった証と言えるだろう。

◆おすすめコース
川入-切合小屋-本山-大日岳-御西小屋-北股岳-飯豊山荘(2泊3日:中級向け)※本山だけなら2日で登頂可能だが……。

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アルプス的な稜線と大日岳(右後方)(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図10「飯豊山」

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