2016年12月24日(土曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第103山】三ツ石山 1466m「裏岩手の宝石」

東北北部の二つの日本百名山、岩手山と八幡平を結ぶ稜線は、傾斜のごく緩やかな楯状火山が連なる。長大ながらアップダウンのきつくないルートが延び、裏岩手縦走路と呼ばれている。アルパインムードにはほど遠い山々だが、北方の山だけに森林限界を抜いていて高山的風貌を帯びるエリアも多く、標高と穏やかさの割には豪快な縦走が満喫できる。小粒ながら景観とムードに優れた山もいくつか数えられるが、山脈中の一押しはなんといっても、ほぼ中間に位置する三ツ石山だろう。

錦秋の名峰として名高く、全山がナナカマドなどの紅葉する灌木で構成されているのがポイントだ。通常、高山帯でもアルプスなどは岩や崖など植生の無い部分が多いし、緩やかなピークでもハイマツなどの緑の占める割合が多く、優れた紅葉であっても一部に散りばめられている程度だ。それが三ツ石山一帯では混じり気はごく少く、殆どが紅や黄だけで占められる。

しかもなぜか毎シーズン、近隣の山々よりも色づくのが早く、光彩陸離とした鮮やかな色彩に圧倒されるのだ。山頂にはその名を表す大きな岩峰がいきなりそそり立っていて、それが山のシルエットに格好のアクセントを与え、周囲の紅葉と相まって正に宝石のよう。

さらに山々を貫くルートは、オオシラビソなどの針葉樹林の中を歩いたり、同じ東北の朝日連峰の様に見晴らしの効く灌木帯であったり、湿原や神秘的な池も随所に現れ、実に変化に富む。ただ意外に感じたのは静かな山との先入観でいたら、地元ハイカーで溢れ返っていたことだ。

実は首都圏や関西など遠方から来る登山者と、岩手や秋田など地元ハイカーの場合では登山スタイルにずいぶんと違いがある。遠方からだと何度も来られないから1回の縦走で一気に片付けてしまおうと言う発想になるが、近隣のハイカーなら御馳走は何度も味わう方がいいから、日帰りで何回も通う。稜線の随所から下山ルートが派生し、下りればみちのくでも聞こえた名湯が待っている。道理で予想外に人が多いわけだ。同じ山でも登る人の立場や住まいによって、捉え方や登り方などが全く別の山の様に変貌してしまう、その好例と言えよう。

◆おすすめコース
松川温泉-三ツ石山-大深岳-松川温泉(7時間:中級向け)※日帰りでも縦走でも。稜線は避難小屋しかないが立派で清潔。

1461-1

三ツ石山山頂の岩峰(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図5「岩手山・八幡平」

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