2017年2月15日(水曜日)[ トピックス ]

見えづらい子どもの貧困 こども食堂「子どもたちの居場所つくりたい」

現在日本では、子どもの6人に1人が相対的貧困にあります。昨年11月に首相官邸で開かれた「子どもの未来応援国民運動」1周年の集いで貧困に苦しむ子どもたちへ向けて発表された安倍首相のメッセージでは、子どもの貧困対策に関する国の政策は何1つ語られませんでした。働き方が多様化する中で、経済的な貧困だけでなく、目に見えない、「孤食」と言われる子どもが孤立している貧困も増えてきています。全国に広がる「こども食堂」を取材しました。

「子どもに安心して食べさせられる調味料や食材を使って、ホッとする味を体験してほしいんです」

ここで使われるみりんや醤油等はすべて天然醸造。塩は自然塩を使います。出汁もこだわってとり、化学調味料はできるだけ使わないようにしています。

子どもの貧困率が騒がれるようになってから、最近テレビなどでよく耳にする「こども食堂」。横浜市中区にある上野町教会でも毎月第2第4火曜日の月2回、安心安全で温かく栄養バランスのとれた夕食が昨年6月から提供されています。「参加費」は子ども100円(カンパのため10円でもいいとしている)、大人は300円。

今日のメニューは「国産牛のハヤシライス」。40食分を大きな鍋で作ります。副菜や汁物も作るので、毎回6人程度のボランティアで調理をします。美味しそうな匂いが充満してきた頃、子どもたちの賑やかな声も聞こえてきました。

「満福うえのまち食堂」を始めた青木あゆみさん。
「自分の子どもに食べさせたくないものはなるべく使いたくないんです。特にこだわっているのが調味料です。子どもの身体の発達だけでなく、脳や精神的な安定にも化学調味料がよくないことはだいぶ周知されてきましたよね」

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こだわりの食事を低価格で提供できるのは地元商店街や農家の方の支援があるからだと言います。

「こども食堂をやりたいと思った時に相談した知人が、開催場所を提供してくださっている教会や商店街の方とつないでくれて、その方経由で挨拶にまわったんです。みなさん快く応援して下さって、食材を提供していただけることになりました。その他、自家菜園の採れたて野菜を運んでくださったり、食材を送っていただいたり、そういった地域の方の協力で成り立っています」

食堂を始めたきっかけについては、東日本大震災後、「当たり前」と思っていたことが崩れ今まで見えていなかったものが見えてきたと話します。子どもの貧困についても、「本来なら行政による根本的な対策が必要だと思いますが、嘆いていてもしょうがない、できそうなんだったらやってみようと」

今は大人だけで調理をしていますが、食べにくる子どもたちと一緒に調理できたらと考えています。

「自分で作れたほうがよりいいですよね。ごはんが炊けてみそ汁作れたら十分です」

青木さん自身も2児の母。横浜には12年前に家族の転勤で越してきました。出身は大阪市。家では関西弁が飛び交います。うどんのだし汁とお好み焼きは我が家の味が1番と言います。
一見貧困とは無縁に見える山手・本牧。しかし、教師や議員に聞くと、貧困にある子どもは「いる」と答えると話します。

「教師は子どもたちと日頃接しているから分かりますが、現代の貧困は目に見えにくくなっていて、街中ですれ違うだけでは分からない。根気よく定期的に続けていけば、いつかそういう子どもたちにも届くかもしれない。月2回では正直、子どもの貧困は救えないと思っています。それでも、居場所になったらいいなと思っています。経済的貧困の解決にはならないけれども、社会的つながりの希薄さのケアができたらいいな」

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