2017年3月10日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第106山】大野山 723m「牧草帯の大パノラマ」

丹沢山地の主脈は富士山東の裾野上から始まり、最高峰の蛭ヶ岳などを経て塔ノ岳で西へ180度反転、足柄山地を前にして谷中に没している。その没する直前の殿として頭角を現しているのが大野山だ。標高は高くはなく、ハイカー人気も今一つ。山頂直下まで車道が通じ、車利用なら労せず登れてしまうからだろう。しかし丹沢全域でも類を見ないオンリーワンがある。それが展望の見事さなのである。

山頂一帯はなだらかで広大。古くから開発の進んだ山であり、山の高みは放牧地で樹が少ない。一面の牧草帯で遮るものが無く、眺めが抜群なわけだ。また、丹沢主脈の末端という立ち位置も幸いした。平野部に向かって張り出していることから、他の山との適度な距離があり、展望が一層見事なものになっている。

まずは丹沢山地、核心部から一段引いているだけにずらりと並んだ姿には息を呑む。その懐にかっちりと嵌め込まれたような三保ダムと丹沢湖は、鳥瞰図でも見るようだ。正面には箱根火山が山頂群から裾野までが余すところなくわだかまり豪快そのもの。眼下には小田原の町並み、その背後には碧い相模湾と浮かぶ大島、遠く三浦半島や東京湾まで。そしてドーンと真正面にそびえ立つ富士山の構図は、惚れ惚れするとしか言いようがない。

これほどの「見せてくれる」山である。加えて春には桜、夏には放牧された牛の情景などセールスポイントに事欠かない。車も入るから、積極的に売り出せば観光名所になること請け合いだろう。にもかかわらず、シーズンにフェスティバルが開催されるくらいで、未だにさっぱりした風情なのはハイカー的にはありがたい。ただ、牧場運営は終了したとも聞く。今後の大野山はいろんな意味で様変わりするかもしれない。

ハイカーに特にお勧めしたいのは御殿場線谷峨駅への下りルートだ。前半は階段状のルートを延々下るのだが、牧草帯の只中なので山頂の大展望そのままを満喫しながら歩けるのである。ジグザグなルートの方位が変わるたびに展望の変わる楽しさに胸が躍る。こんなに豪快な下山道も珍しい。観光では得られない、ハイクの醍醐味を満喫できるのである。

◆おすすめコース
山北駅-大野山-谷峨駅(4時間:初級向け)※日差しを遮るものが無いので夏場は厳しいが、それ以外ならいつでも登れる。

1466-2

谷峨駅への豪快な下り(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図28「丹沢」

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