2017年3月24日(金曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第107山】氷ノ山 1510m、扇ノ山 1310m「寒さと若さと」

当たり前のことだが山は寒い。ところが寒そうな名前の山となるとそんなに多くはない。思いつくところで大雪山(北海道)、寒江山(東北)、寒峰(四国)あたりか。そんな中で一番寒そうに聞こえるのが氷ノ山(ひょうのせん)だろう。日本海側に位置するから周辺はスキー場のメッカになっているが、中国地方の山なので寒さ度そのものはさほどでもない。また「山」を「せん」と読むが、これは本家中国から漢字が入ってきた時の年代を示すと言う。普通は「さん」読みが多いがこれは唐代の移入で、「せん」読みはそれより古い呉音と呼ばれ、他に大山や蒜山など、中国地方にまとまって多い。

さてその大山、関東方面の登山者からすれば、中国地方ではナンバーワンと言うよりオンリーワンに近い。氷ノ山は標高では大山に次ぐが知名度は格段に落ちる。もちろんこの山ならではの良さがある。大らかな山頂部一帯が、広大な笹原で覆われ、実に伸びやかな光景が広がる。特筆すべきは、その笹原にキャラボクなどの針葉樹があちこちで小さな森を形成していることだ。ゆったりした中にもメリハリの利いた独特の景観となっている。殊に南側のピーク:三ノ丸への縦走は、スキップでもしたくなる様な快適なルートだ。

中国地方ナンバーツーだけあって地元関西では人気の山だが、さすがに関東方面からこの山単独では物足りないかも。それなら+αとして北隣の扇ノ山がおすすめだ。氷ノ山からの縦走は無理だが、車で移動して軽い半日コースのルートがある。山頂から氷ノ山がよく眺められる他、お洒落で綺麗な避難小屋が目を引く。さらに特筆すべきは、大ヅッコ、小ヅッコと呼ばれる二つのピークの間の平坦地に広がるブナ林の若さだ。原生林を一旦伐採した後で、自然に再生した二次林のため若木ばかりなのだろう。木肌が滑々で色合いが鮮やか、枝の繁りも軽やかで、森全体が明るいハーモニーを醸し出しているのである。まるで樹たちの歌声でも聞こえてくるような。丹沢辺りの滅びゆく老齢のブナ林とは全く別物だ。

「若いっていいなあ」と、自然に対して素直に思えるような所はありそうでない。貴重な存在と言っていい。

◆おすすめコース
スキー場-氷ノ山-三ノ丸-スキー場(5時間)、水とのふれあい広場-扇ノ山往復(3時間)※いずれも初級向け。レンタカー利用が便利

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三ノ丸から見た氷ノ山(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図52「氷ノ山」

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