2017年4月20日(木曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第109山】篠ノ井線廃線敷コース「廃線跡を辿る」

JR篠ノ井線、と聞いてもピンと来ないかもしれない。信州は松本と長野を結び、名古屋方面から特急「しなの」が走っているから、重要度の高い本線クラスの路線である。したがって明治35年と早い開業であり、当初は東京から軽井沢経由で中央東線とされていた程だが、その後に現在の中央線が開通して篠ノ井線の名称に落ち着いている。

険しい山岳路線であり、輸送力増強のためにしばしば路線改良がおこなわれた。昭和63年にはトンネルを新たに掘って線路を付け替えたため、一部の路線が遊休地となった。その跡地を利用して、明科駅から6.5㎞に渡ってハイキングコースが設けられている。廃線跡コースなら他にもあるが、観光拠点の安曇野にあって、アルプスの展望などもある点がここのメリットだ。

山奥のトンネル前からスタート。広やかな路面、緩やかなカーブ、僅かな勾配は鉄道路線の名残りならでは。ゆったりと鼻歌交じりで他所見しながらでも安心して歩けるようなハイキングルートなど、そうそうあるものではない。そして鉄道時代の残滓として、古い信号機や勾配標、踏切などが随所に残され、鉄道ファンならずとも楽しい。とりわけ建築史的にも貴重で見応えあるのがトンネルだ。明治期の建設だけあって丹念に雄大に積まれた煉瓦造り。優美なアーチや武骨でかっちりした柱など、機能美が醸し出す芸術性。時を経てグラデーションの様に変色し、一部欠け落ちた跡さえもが味わいを見せる。さらには絡みつく草木に苔、それらが混然となった一大アート作品と言えようか。中を歩いて抜ける時、栄光の交通インフラたる役目を終えた寂寥感が漂うかのようで胸を打つのである。

途中のルート脇には東平という高台があり、茶屋などあって格好の休憩スポットになっている。北ア常念山脈を望見できるのは、信州中部の廃線跡ならではの特典だろう。麓が新緑、山に豊富な残雪がある季節がベストだ。

ラストの明科駅近くで旧廃線跡と現在の営業線が合流する。ここから鉄路を長野方面へ、姨捨駅付近の展望の見事さは全国クラスの名所だ。帰路に寄ればさらに思い出深くなるだろう。

◆おすすめコース
旧第二白坂トンネル前-明科駅(2時間:初級向け)※車で行くにせよ鉄道で行くにせよ、タクシーで旧トンネル前まで行くのが便利。

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歴年の重みがわだかまる深久保トンネル(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎安曇野市のホームページから「トレッキングガイド」などで検索すると良い。

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