2017年6月12日(月曜日)[ 登りたいのは山々 ]

【第111山】足柄山約870m「神奈川のプチヒマラヤ」

「足柄山の山奥で けだもの集めて相撲のけいこ‥‥」
ご存知の童謡「金太郎」である。足柄山の名を聞いたことのない人はいないだろうが、実際にどんな山であるのかは知らない人が殆どだろうし、登山愛好者でも登った人となると少数派だ。所は神奈川県最西部、丹沢と箱根に挟まれた70km2ほどの小さな山地である。ところがこのミニ山地が侮れない。その成り立ちが、ニッポンでは殆ど唯一のものなのである。

古には南の火山島群であった伊豆の地塊は、太平洋の海底下のプレート(地殻)に乗って、本州に衝突して今の姿(半島)となっている。丹沢山地との間に位置する足柄エリアは、かつては深い海底であったのが、伊豆の衝突によって南北に押しつぶされた挙句に隆起し、現在の様な山地を形成するに至った。かように複数の陸塊が海底の地層を直に押し付けあって、そのまま山をなしたと言うのが、わが国では他に類を見ないのである。しかもこの山地形成のプロセスは、かのヒマラヤ山脈も同様。ユーラシア大陸にインド大陸がぶつかって、海底から隆起して出来たのがヒマラヤである。足柄山地こそは、正にそのミニ版、すなわちプチヒマラヤと言っていい。

山地の最高峰は矢倉岳で、おむすび形で独立したスタイルが目を引く。山頂は樹林を欠いているので遮るもののない大展望が広がる。富士山はもちろん眼前の箱根も実に見事で、休日にはハイカーで賑わう人気の山だ。ただし矢倉岳は花崗岩が地底から隆起したもので、足柄全体からすると異端の山、別格と言った存在か。

海底の地層が隆起した、足柄の本家筋の山の中では、鷹落場と称するピークが最高峰となっている。ただ登山道が不明瞭な所もあり、矢倉岳に比べるとずっとマイナーではある。展望も樹間に箱根の一峰が望見できる程度。しかしムードがいい。広葉樹の自然林に覆われ人も少なく、ゆったりと自分たちだけの時間を寛ぐには絶好だ。そっと腰を下ろしてみよう。地表の感触が伝わってくるはず。壮大な地球の営みを肌で感じ取る、そんなひと時も乙なものである。

◆おすすめコース
矢倉沢-矢倉岳-鷹落場-足柄峠(4時間:初級~中級向け)※鷹落場からさらに足柄の主稜線を辿って山北駅方面に下りられるが、こちらはしっかりした地図読み力が必要。鷹落場から足柄峠方面へ戻った方が無難。

1474-1

山北の河村城址から見る足柄山地(上の画像をクリックすると大きく表示します)

◆参考地図・ガイド◎昭文社:山と高原地図29「箱根」

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